寒さが段々と厳しくなってきました

紅葉も進み、本格的な秋が訪れています。寒さも徐々に厳しくなり、先日は手稲山でも初冠雪が記録されました。冬が段々と近づいてきていると感じる季節ですね。

過去のブログでも取り上げたように、冬季は季節性のうつ病と呼ばれる病状があります。日照時間の短縮の影響が要因と言われておりますが、冬になると気分が沈みやすくなるというようなことが起こります。一般的にはうつ病などの精神的な病気には、人間関係や多忙など日常的なストレスにより引き起こされるイメージがありますが、必ずしもそうではないということになります。

他にも女性に限られますが、生理周期やホルモンバランスにより気分が沈みやすくなることもよくみられます。また性別に関わらず、十分に栄養が取れない時期が続き、低栄養状態になったときにも気分が沈みやすくなります(その他にも色々な変化があります)。

こうした、ある時期やある条件が持続すると生じる抑うつ気分については、時期や条件が解除されると自然回復するという特徴があります。春になると改善したり、栄養状態が回復すると気分も安定するといった変化が生じます。したがって、必ずしも専門的な治療が必要というわけではありません。

ただし、時には治療が必要となる場合があります。北海道の冬季は長いですし、定期的に気分が沈むということも日常生活が送りにくくなるきっかけになることもあります。そのような場合には、精神科や心療内科、時には婦人科、内科といった医療機関に相談をすることが推奨されます。治療は主に薬物療法がとらえます。うつに効果が認められている薬剤や漢方薬などが用いられることもあるようです。冬季のうつには薬物療法だけでなく、光療法と言われる治療も効果があると言われています。

ある時期や条件で気分が沈みやすい傾向があると感じられるときには、一度専門的なご相談を考えてみるとよいかもしれません。

 

就労に関するサービス 障害者雇用とは?

公認心理師、臨床心理士、事務長の春名です。

今回は障害者雇用についてご紹介しようと思います。これまで紹介させていただいたサービスに比べると聞き覚えのある言葉であるかもしれませんね。

障害者雇用とは障害者雇用促進法に基づいた雇用方法です。この法律では、事業主に対して、一定以上の従業員を雇用している場合、「障害者雇用率(法定雇用率)」に相当する人数の障害者の雇用を義務付けています。

令和3年3月以降では、法定雇用率が設定されるのは従業員が43.5人以上の企業となっています。令和5年1月現在の各法定雇用率は、民間企業で2.3%、国・地方公共団体で2.6%、都道府県等の教育委員会で2.5%となっています。令和5年度以降は雇用率を民間で2.7%、国・地方公共団体で3.0%、教育委員会で2.9%に段階的に引き上げていく予定となっているようです。

障害者雇用を希望する場合には、必ず障害者手帳を取得しなければなりません。求人への応募も手帳が交付されてからとなり、交付されるとハローワークで障害者雇用の求人を閲覧できるようになります。

就労継続支援と異なる大きな点は、業務の指示を出すのは支援者ではないということです。就労継続支援では、支援者が業務の指示やサポートを行いますが、障害者雇用では支援者ではなく通常の従業員が行います。そのため、障害に関する知識があるわけではありません。また、職場によっては障害者雇用であることを周知しない場合もあり、障害者雇用であることを知らない人と働くということもあるようです。

一定数の従業員がいることが義務となっていることを考えると、基本的に従業員が数名という会社の求人はありません。ある程度の規模の会社に就職するということになります。また、公務員という就職になることもあります。そのため、お給料も求人によって様々であり、業務の内容の様々なようです。お給料についてはおおよそ就労継続支援よりも高い場合が多いようです。

必ずしも専門科の支援がなくても、就労はできると思うが、一般就労は難しい、自信が持てないという場合には、障害者雇用という方法も一つの選択肢と言えるのではないかと思います。

3学期もスタートしたようです

公認心理師、臨床心理士、事務長の春名です。

令和5年になり、1月も半分が終わりました。お正月休みからいつもの生活に慣れ始めている時期かと思います。昨日から市内の小学校は3学期がスタートしたようです。中学や高校、大学などはすでに始まっており、学生もいつもの生活に戻ることになりますね。受験シーズンもすでに始まっており、緊張の日々を過ごされている学生の方もいらっしゃるでしょう。持てる力を十分に発揮できることを祈っています。

長期休みが終わるころには慌てて宿題に取り組むお子さんも多いかもしれません。私自身を振り返ってみても、休み前は早めに終わらせようと意気込んでいても、いざ休みが始まるとついつい先延ばし、結局は慌てて取り組んでおりました。

宿題も含め、物事を先延ばしにしてしまう傾向が強い場合、精神科ではADHDの可能性を疑うことがあります。ADHDとは、忘れっぽい、段取りをうまく組めない、先延ばしてしまうといった不注意の問題や落ち着きがない、思いついたことをぱっと行動に移してしまうといった多動、衝動の問題を有している障害のことです。

しかしながら、長期休みの宿題がギリギリになってしまうことは珍しいことではないのではないか?と疑問に思うことがこれまでたびたびありました。きっと同じ経験をしている人はたくさんいるはずと思い、少々ネットで調べてみたところ、こんな調査結果がありました。

「夏休み終盤の追い込み、今は昔!?夏休みの宿題は ”すぐやる”(35.3%)または計画的にこなす(27.1%)が主流。”締切の直前・夏休みの最終日”は少数派(7.2%)」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000453.000028894.html

株式会社やる気スイッチグループが教室に通う生徒さんにとったアンケートの結果です。このアンケートの結果では堅実に取り組む割合が多いという結果でした。駆け込みで終わらせる派はどうやら少数のようです。どうやら、ギリギリになってしまうことは私が思っていたよりも、たくさんとは言えないようです。私個人も含めて、少数派なのかもしれません。

とても有益な調査で、とても参考になった調査結果でした。研究を否定するという意図は全くないことを前提に、研究は常に批判的な視点でみるように、という学生時代の教えに則り、少しだけ批判的な私見を加えさせていただこうと思います。この調査では調査対象が教室の生徒さんということで基本的に学業に対するモチベーションが高い人が対象であることが結果に影響しているのではないかと思います。学業に対するモチベーションが高いので、宿題にも積極的に取り組む人たちを対象としたアンケートのため、ギリギリに取り組む人が少ないという可能性が否定できません。もう少し、学校全体を対象とした調査が無いものか、今後も調べてみたいと思います。

先程も述べたように宿題がいつもギリギリにならないと終わらないなど、ついつい物事を先延ばしてしまうという悩みは、単なる性格の問題ではなく、ADHDを有しているという可能性もあります。先延ばしてしまう人すべてがADHDではもちろんありません。ただ、やろうと思ってもどうしても先延ばしてしまい、学業や日常生活に支障をきたしているようであれば、一度専門的に相談してみることも有益かもしれません。

本日が今年最後の診療日となります

公認心理師、臨床心理士、事務長の春名です

先週から今年も残り後わずかというお話をさせていただいておりましたが、本日が令和4年最後の診療日となりました。

今年も多くの患者様の疾患の治療、診療にクリニックとして携わらせていただきました。最近では予約が取りづらいことやお待たせする時間が長くなってしまうような日も生じており、特に新規の患者様のご予約はご案内が難しいことが増えております。ご不便をおかけしてしまっていることもあると思いますが、一人ひとりの患者様に必要十分な時間を設けるために必要なこととご理解いただけると幸いです。

来年も患者様の治療、診療にクリニック一丸となって努力していきたいと思います。今後も、多くの方の健康に寄与できるクリニックで在り続けたいと思います。

令和5年は1月4日(水)より通常診療となります。1月上旬はすでに多くの方のご予約もあり、混雑が予測されております。何卒、ご理解、ご協力をよろしくお願いします。

臨床心理士資格を更新します

公認心理師、臨床心理士、事務長の春名です

前回、「心理療法を受けるには?」というお話をさせていただき、公認心理師や臨床心理士という資格についてお話しました。どちらも一定の教育を受けていることが担保されている資格としてご紹介させていただきましたが、今回は臨床心理士のお話です。

先日、臨床心理士の更新書類が届きました。今回で3回目の更新となります。臨床心理士は5年に一度、更新を行う必要がある資格です。公認心理師は一度取得すると、更新という制度はありません。しかし、臨床心理士は更新を行う必要があります。

この臨床心理士の更新に重要な点はポイントの取得です。協会が認定する研修会、各都道府県の臨床心理士会が主催する研修会、学会参加、個別に認定された研修会への参加、論文の投稿、スーパーバイズなどいくつかの領域が設定されており、そのうちから3つの領域でポイントを取得しなければなりません。

研修会や学会では参加することで2ポイント、講演や発表であると4ポイントというようにポイントが定められています。また、2ポイントの取得には協会が指定する時間以上の研修会でなくてはならないといった定めもあります。ここ数年は感染予防の観点から多くの研修会がオンラインでの開催となり、オンラインの場合は1ポイントという定めになっておりました。

このような定めのもと、15ポイント以上を得ていなければ、臨床心理士の資格更新はできません。5年かけて、せっせと研修会や学会に参加しながらポイントを貯めていくことになります。

すでに3度目の更新ということもあり、書類準備の方はすでに整いつつあります。後は事務手数料を納め、顔写真を撮影すれば郵送でき、無事に更新ができそうです。

1度目の更新では先程もご紹介したポイントで苦労しました。3つ以上の領域でポイントの取得をしていたのですが、研修会の参加を証明する書類の管理がずさんであったため、参加証や領収証を探し出すことに苦労した覚えがあります。

2度目の更新では5年間に参加した研修や学会に関する証明書をファイリングし、ポイント取得の証明は滞りなく終えられました。特に問題がないと思われた更新でしたが、証明写真でちょっとした失敗が起きました。冬、外に設置された証明写真を利用したのですが、どうやら画面が吐いた息で曇ってしまっていたようなのです。出来上がった写真は白くモヤのかかったような仕上がりで・・・。そのまま利用したところ、ずいぶんと古い写真を使ったかのような資格カードが郵送されてきました。臨床心理士の資格カードには運転免許証のように顔写真が載ります。

今回は書類も写真も問題なく準備が整えられそうです。写真はこれからですが、曇らないように細心の注意を払って臨もうと思います。

これで、無事更新できれば、5年間臨床心理士として活動できます。その間も、研修会や学会参加など研鑽を積むことが必要となりますが、それは当然のこととして、今後も励んでいきたいと思います。ひとまず、無事に更新ができそうで安心しております。

提出の締め切りを過ぎるというミスが起きないように最後まで用心してかかりたいと思います。

心理療法を利用したいがどうすれば?

公認心理師、臨床心理士、事務長の春名です

今回は「心理療法を受けるには?」というお話をしたいと思います。クリニックにもたびたびお問い合わせいただくことがありますが、「カウンセリングは受けられますか?」という質問に関して、クリニックを含んだ医療機関では「受けられると保証できない」という回答になってしまいます。

心理師/士を配置している医療機関かどうか、という点ももちろんありますが、所属しているという機関であっても、問い合わせ時点では、保証できないという回答になってしまいます。これは医療機関で行われる心理療法は医師の指示によって始められるためで、希望すれば受けられるというわけではないことという意味です。病状等を勘案し、心理療法が適用となる、あるいはその方法が効果的といった判断を医師がすることで、心理療法は開始されます。

適用となるかどうかは、相談したい内容や疾患の重症度、心理療法による治療効果が示されている疾患かどうかといった基準に加えて、医療機関ごとの基準による場合もあります。当クリニックでは、公認心理師による心理療法は治療の補助として利用しており、薬物療法に併せて行う治療方法という位置づけで行っており、心理療法のみの治療は行っておりません。

このような理由から、心理師/士がいる機関であっても必ずカウンセリングが受けられるとは言えません。もちろん、希望は考慮されますが、保証はできないということになります。では、どうしてもカウンセリングを受けてみたいという場合はどうすれば?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

とにかく心理師/士によるカウンセリングを受けたい、利用したいという場合には、①個人で開設しているカウンセリングルームを利用する、②大学に付属する相談センターを利用するという方法があります。どちらの方法も医療機関ではないため、健康保険が利用できません。したがって、1回の相談料はその機関ごとで異なります。①に比べて②の場合には、教育機関であるという特色から、1回の相談料は低めに設定されている場合が多いです。ただし、時に学生の陪席があるなど、教育への協力が求められる場合があります(もちろんお断りすることも可能です。了承しなければ、利用できないという意味ではありません)。

インターネットなどで調べると様々なカウンセリングルームがあることがわかりますが、カウンセラーという名称も様々です。民間の資格など、多種多様に存在しています。医療機関で心理療法を提供している心理師は公認心理師あるいは臨床心理士であることがほとんどです。

臨床心理士は日本での歴史も古く、医療機関や教育機関など様々な領域で心理療法や心理検査といった業務に従事しています。「心理士」「カウンセラー」といった呼び方をしたときのほとんどは、この臨床心理士を指していると言っても過言ではないと思います。臨床心理士は国家資格ではなく、協会が認定する認定資格になります。協会のホームページでは、臨床心理士が所属している様々な機関を検索できるデータベースも提供されています。「臨床心理士に出会うには」と検索していただくと、ページが出てきます。

もう一つが公認心理師という資格です。これは国家資格であり、今後、特に医療機関では主流となっていくと思われます。まだ誕生して日が浅いことから、耳馴染みのない資格かもしれませんが、次第に心理師と言えば、公認心理師となっていくのではないかと思われます。ちなみに、臨床心理士と公認心理師は「し」の漢字が異なります。なので、「心理士」だと臨床心理士、「心理師」だと公認心理師ということになります。

現状、どちらの資格も保有している心理師/士が多いかと思います。どちらであっても、優劣という関係性ではありません。どちらかの資格を有している心理師/士であれば、一定の教育を受け、一定の技術が担保されているとお考えいただくとよいでしょう。どのカウンセラーが良いのかわからないというときには、ひとまずどちらかの資格を有しているかどうかを判断基準の一つとしていただくと良いと思います。

食べられないことは精神にも影響します

公認心理師、臨床心理士、事務長の春名です

本日、8月31日は「やさい」の日だそうです。今朝のニュースでも、高騰していたたまねぎの価格が北海道産の豊作により安くなり始めたこと、逆に葉物野菜は猛暑の影響で価格が上昇していると耳にしました。明日からは9月となりますが、食欲の秋というように食べ物がおいしい季節となります。今日は食事と精神のことについて少しお話したいと思います。

食事と精神でまず身近なことはストレスがかかったときに食欲、食事に影響が起きることです。タイトルにもした通り、ストレスがかかると食欲が低下し、食事も摂れなくなります。また、ストレスにより胃腸に不調をきたすことで食事ができないということもあるでしょう。うつ病の症状の一つに食欲低下、体重減少というものがあり、ストレス反応やうつの症状として食べられない、食欲がわかないということが生じます。

ただ、ストレス反応やうつの症状の場合、反対に食欲が亢進することもあります。いわゆる「やけ食い」と言われるような状態です。その結果、体重も増加します。したがって、食べられないだけでなく、食べ過ぎるということも生じる場合があります。

もう一つは、体重や体型が気になって食事が摂れないという状態です。これは摂食障害という病名で知られています。摂食障害には、ほとんど一切の食事をとらない拒食という状態と一度に大量の食事を摂る過食という状態があります。多くの場合はどちらも経験することが多いようです。病気の原因は明らかにはされていませんが、ダイエットをきっかに病気へと進展してしまうことがよくあります。食事制限によるダイエットをしていたら、いつの間にか通常の食事を摂ることが困難になり、食べない・食べ過ぎる、を繰り返してしまいます。

ストレスによるものか摂食障害といった病気によるものか、理由はなんであれ、私たちは食事が摂れず低栄養の状態が続くと共通した変化が生じてくることが知られています。昔、計画的に食事を制限し、体重を低下させ、どのような変化が生じるかを検討するという実験が行われました。その実験に参加したのは健康状態に問題のない成人男性でしたが、低栄養状態が続くことで様々な変化が生じました。

まず、食べ物への興味関心が高まる人が多数観察されたそうです。多くの人が一日中食べの物のことばかり考えるようになったと言われています。実験が終了したあとに、両輪人や栄養士など食べ物に関わる職業に転職した人も数名いたそうです。
次に、食事を摂ることのコントロールを失う人がたくさんいたそうです。いわゆる過食という状態で、実験を終える前に計画的に栄養状態をもとに戻す時期も設けられたそうですが、コントロールを失い、食べ過ぎてしまう人が多数いたと報告されています。

憂うつ、不安、イライラを報告する人が多数存在したことも報告されています。明らかなきっかけや理由はないが、落ち込んだり、イライラしたり、情緒的な変化を感じる人が多数だったそうです。この実験の結果から、栄養状態のバランスが崩れることは私たちの精神にも影響することが示されました。

このように、食べられない・食べないによって栄養状態が低下してしまうと、精神的にもネガティブな影響が生じてしまいます。もちろん、食べ過ぎてしまうことも注意が必要ですが、食べ物がおいしくなる季節、「食欲の秋」ということで、精神的な安定のためにも栄養を摂っている、と思いつつ、食べることを楽しんでもらうことも一つかと思います。

クリニックのロゴ札幌ことにメンタルクリニック

春名大輔

元気過ぎるのも要注意

公認心理師、臨床心理士、事務長の春名です

夏期休診を終え、当クリニックも通常の診療を行っております。お盆も過ぎましたが、暑さがまだ続くようです。かと思えば、大雨となるなど不安定な天候が続いております。中々、元気が出ないと感じることもあるかしれません。

今日は「元気」について少し取り上げたいと思います。元気であること、徐々に元気になっていくこと、元気を取り戻していくこと、は一般の生活においても、精神科での治療の過程においても望ましい変化であることに間違いはありません。

しかしながら、「元気」には注意が必要な場合もあります。タイトルにも示したように元気すぎることも要注意になります。一般にもハイテンションというような表現があり、日常生活を送っていると、一時的にそのような体験をすることもあるものです。何か楽しい時間を過ごしている最中だけ、ハイテンションと感じることは自然な範疇と言えますが、そのような状態が続いたり、気分だけでなく、以下に紹介するような生活上の変化も続く時には注意が必要です。

・寝なくてもいける
時に徹夜するということは誰しも経験のあるものかと思いますが、これは「寝ることがもったいない」「寝なくても大丈夫」というような感覚を指します。そして、実際に寝ない日が数日続いたり、明らかに短い睡眠時間となったり、それでも日中の活動が可能というような状態です。

・(根拠はないけど)大丈夫!
私たちは自信が持てない、確信が持てないと感じるときに、自身を鼓舞するという目的で「大丈夫」と自分に言い聞かせたり、相手に安心してもらうために「大丈夫」と伝えたりすることがあります。また、経験や取り組んできた実績をもとに、「大丈夫」と思えることもあります。これらの「大丈夫」ではなく、何の根拠もないけれど、「大丈夫」と思えて仕方がない状態です。

・衝動買いが増える
買って後悔するという体験は誰しもにあるものかと思います。買ったのにそのままということもあるでしょう。このような体験のすべてが要注意ではありませんが、どうも最近、見たものをパッと買ってしまうことが増えている、課金が増えているなどお金を使う頻度が通常よりも明らかに増えている状態です。

上記以外にも、いつもよりも話過ぎてしまうようになる、考えが浮かんで浮かんで仕方ないといった状態が続いたりするときにも注意が必要な「元気」といえます。

過ぎたるは猶及ばざるが如し、という言葉があるように元気でることと、元気過ぎることは別なものと思っておくことが落ち着いて生活を送るヒントになるのではないかと思います。

睡眠リズムが取り戻しにくいと感じることはありませんか?

公認心理師、臨床心理士、事務長の春名です

数年前から一般的にも良い睡眠を取ることへの注目が集まっております。数年前にはテレビなどで特集が組まれたり、デジタル機器によって睡眠を測定したり、睡眠を感知して起床に最適な時間にベッドが起こしてくれるなど、様々に進歩しております。

睡眠に関する様々な知識、研究がありますが、その中から今回は睡眠リズムを取り戻しにくくなってしまうことがあるというお話です。一部の精神疾患を経験すると、その後、乱れた
睡眠リズムを取り戻しにくくなってしまうと言われています。

私達が睡眠を取る理由の一つに概日リズムというものがあります。これは、一般的には体内時計とも言われているもので、地球の自転に合わせたリズムのことです。地球が1日に1回転することに合わせて、夜寝て、朝起きるというリズムが生じます。夜勤業務に携わっている方や夜更かしで昼夜逆転してしまうなどの睡眠リズムの混乱は主に概日リズムが混乱しているということになります。

また、この概日リズムを調整する機能が私達には備わっており、その調整機能により乱れたリズムを元に戻すことも行っています。なので、何かの理由で徹夜して翌日にたくさん寝ると、その後はまた元のリズムに戻るのは、この調整機能によるものです。もちろん、徹夜が繰り返されると調整機能が追いつかず、元に戻らなくなってしまうこともあります。また、そもそも私達の概日リズムは地球の自転と数分のズレがあると言われており、そのズレを食事や日中の活動によって微調整していると言われています。調整機能だけによって概日リムが調整されているわけではありません。しかしながら、私達が生活の事情でいつもとは異なる睡眠リズムになったとして、元のリズムに戻れるのは、この概日リズムの調整機能に拠るところが大きいのです。

この調整機能に影響を及ぼす精神疾患が双極性障害(躁うつ病)やうつ病と言われる疾患です。うつ病や双極性障害では、睡眠リズムの変化が症状の一つとなっています。治療により疾患の改善に伴い、睡眠リズムの変調も改善していきますし、睡眠の問題に対する治療によって睡眠リズムの変調そのものの改善も得られます。しかしながら、ある研究では、うつや双極性障害にかかってしまうと、病気が回復した後も概日リズムの調整機能の混乱が持続するといわれています。睡眠リズムの変調そのものが改善したとしても、調整機能の混乱は改善しないということです。

つまり、昔のように徹夜しても翌日たくさん寝れば元に戻せる、ということができなくなってしまうということになります。そこで、ある治療法では就寝と起床時間を一定にした生活をおくること治療かつ再発防止の一つとして組み込んでいます。

睡眠リズムと気分の変調はにわとりとたまごのような関係です。睡眠リズムを安定させることは気分の変調を予防することにも効果的です。概日リズムの混乱を防ぎながら質の良い睡眠を取ることはメンタルヘルスの向上、維持に有益と言えるでしょう。

7月も終わりを迎え、湿度、気温ともに高い日が徐々に増えています。寝苦しい夜も増えてしまいそうですが、できるだけ一定のリズムで睡眠を取るほうが、メンタルヘルスの維持には良いかもしれません。

広い場所が怖い、というわけではありません ~広場恐怖について~

公認心理師、臨床心理士、事務長の春名です。

本日は、「広場恐怖」という症状についてご紹介したいと思います。広場恐怖とは、強い不安に襲われたときに、どうにもできない、助けが得られないような状況や場所にいることが怖いという症状です。なので、広いかどうかは特に関係がなく、たとえ狭い空間であっても生じることがあります。

この症状は特にパニック障害と言われる疾患に同時に生じやすく、パニック発作が生じたときに、すぐにその場を離れられない、助けが得られないといった不安や恐怖によって、そのような状況や場所に強い恐怖を感じたり、避けてしまいます。

生じる場面は多岐に渡ります。よく耳にするのは公共交通機関です。電車や地下鉄やバスの利用に強い恐怖や苦痛を伴ったり、利用できない場合もあります。他には人混み、映画館、エレベーター、教室など大小さまざまな空間に生じます。

そして、そのような状況や場所に身を置くことになってしまったときには、共通して出入口付近にいるようにするといった反応がみられます。交通機関では出入り口付近に立つ、映画館でも出入口付近の席をとるなどの特徴がみられます。これは、強い不安や発作が生じたときにすぐに対応できると、少しでも安心できる材料を増やすためです。

このように様々な状況や場所に対して恐怖や苦痛を伴うため、症状が進行すると外出も難しくなってしまうこともあります。安心できる人と一緒なら外出できても、一人ではできないということも多くみられます。

治療では薬物療法が主となりますが、エクスポージャー(曝露)療法も有効です。先にも述べた通り、パニック障害という病気に同時に生じやすいため、パニック障害のエクスポージャーには広場恐怖への曝露も同時に行われていくことになります。例えば、地下鉄の入り口付近から挑戦し、徐々に入り口から離れ、中央付近でシートに座るといった課題にしていきます。さらに、利用者の少ない路線や時間帯から始め、より利用者の多い路線、時間帯へと段階的にハードルを上げていきます。そうすることで徐々に広場恐怖も克服していくことが可能です。

決して楽な治療法ではありませんが、治療効果が十分に期待できます。徐々に克服していけることは生活が送りやすくなっていくことに加えて、自分自身の力で乗り越えられたという自信もついていきます。時に、知らず知らずのうちに自分でエクスポージャーを実践されている方もいらっしゃいます。怖いと思っても、何とか挑戦し、乗り切れる体験は心理療法と同様のことを行っていると言えます。「実は、していたかも」にも積極的に気づけるようになるとよいでしょう。