重度不眠症に対しての治療について、完結編。

前回の続きとなりますが、重度不眠症の方は、一定の割合で必ずおられます。

睡眠薬を含めて向精神薬は、個人差が非常に大きいことが特徴です。脳(中枢神経)に作用しますので、非常に少量で過剰な眠気(過眠=副作用)が出る方から、多量の睡眠薬でも全く眠くならない方(効果なし)まで、まさに十人十色です。うつ病や統合失調症、双極性感情障害、てんかん、不安障害 社交不安障害 パニック障害等の治療薬剤も同様に、非常に個人差が大きいとお考え下さい。

話を「重度不眠症」に戻して、2020年9月28日に記載した内容の続きをお話します。結論から言いますと、不眠症の80%程度の方は[1]~[4]で十分に効果があります(*2020年9月28日の記載をご確認ください)軽度の方は[3][4]が一番良いと思います^^依存性も少なく、安全性も高いからです。

中等度・軽~中レベルの不眠の方は[1][2]を組み合わせれば、ほとんど問題が解決できます。かかりつけの内科や外科の先生が処方されるのは、ほとんどの場合、ここまでだと思います。(ここまで処方してくださる、かかりつけ医の先生には、常日頃感謝しております^^)

しかしそれ以上のレベルの不眠症(中等度・上レベル以上)の方への処方は途端に難しくなります。ここからは、まさに精神科・心療内科医の真骨頂が問われます^^

今は昔の話になりますが、研修医の指導を担当していた時期がありました。その時と同じ内容のお話をします。

まず、非ベンゾジアゼピン系とベンゾジアゼピン系が無効ならば、次は以下の処方を検討することも必要です。

①四環系抗うつ薬:ミアンセリン:テトラミド/マプロチリン:ルジオミール

②トラゾドン:レスリン デジレル(抗うつ薬に分類されますが、催眠作用が強く睡眠を深くする作用が強いので、睡眠剤として使用されます)

③抗精神病薬:(レボメプロマジン:レボトミン ヒルナミン/クロルプロマジン:コントミン ウィンタミン/クエチアピン:セロクエル

④バルビツール系睡眠剤                         ●ペントバルビタール(短時間作用型):ラボナ               ●アモバルビタール(中時間作用型):イソミタール             ●フェノバルビタール(長時間作用型):フェノバール

⑤モノウレイド系睡眠剤(ブロモバレリル尿素):ブロバリン

⑥合剤:すでに発売中止になった旧ベゲタミンA・B(クロルプロマジン・プロメタジン・フェノバルビタールの合剤は、睡眠効果に関しては強い効果がありました。発売中止になってますが、3種類の薬剤を組み合わせると再現は現在でも可能です。

安全性を含めて、ペントバルビタール(短時間作型):ラボナ アモバルビタール(中時間作用型):イソミタールは、最大処方可能日数は14日です。

当クリニックは、危険な睡眠薬を決して推奨しておりません。しかし十人十色で重度不眠症の方がおられることも事実です。日本国(厚生労働省)が定めた基準を厳守した上で最大限、不眠治療にご協力したいと考えております(*^^*)

眠れないという事は非常に辛いことだと理解しております^^ そのため、難治性の不眠症でお困りの方のご相談を「札幌ことにメンタルクリニック」では、お受けしております(*^-^*)

P.S.遅くなりましたが、ようやく「重度不眠症」について、書き上げれたことに安堵いたしております。遅筆ゆえにご容赦くださいませ。今月はハロウィーンですね^^ 秋の収穫に感謝をしたいと思います^^

札幌 西区 琴似

精神科 心療内科

札幌ことにメンタルクリニック

院長 阿部 多樹夫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

重度の不眠症に対しての治療について。補足事項その①

以前にお話したことがありました「不眠症」について、もう少し補足したいと思います。2018年9月21日のブログも参照ください^^

前回の復習になりますが、不眠症には①入眠困難 ②中途覚醒 ③早朝覚醒 ④熟眠困難のパターンがあります。

①だけでなく②や③が合併するケースも非常に多くあります。重度の場合①-④まで全て合併している方もおられます。

現在の国内で処方が可能な治療薬は下記の通りとなります。

[1]ベンゾジアゼピン系睡眠薬(トリアゾラム ブロチゾラム エスタゾラム ニトラゼパム フルニトラゼパム等)がまだまだ主流です。

[2]非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(ゾルピエム ゾピクロン エスゾピクロンクワゼパム等)なども、徐々に処方される機会が増えてきております。

[3]メラトニン受容体作動薬(ラメルテオン メラトベル)

[4]オレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント レンボレキサント)

[5]バルビツール系:ペントバルビタールカルシウム(短時間作用型)アモバルビタール(中時間作用型)フェノバルビタール(長時間作用型)

[6]モノウレイド系(ブロモバレリル尿素):100年以上前からある薬剤ですが、安価で非常に睡眠効果があります。ただし安全性は、お世辞にも高くありません。毎日の服薬量をしっかり守っていただけるのれば、世間で騒がれている以上の問題はありません。しかし大量服薬した場合など危険が高いことは、予め十分にご理解ください。

通常の不眠であれば[1]~[4]を服薬していただければ十分に効果が望めます^^

しかし、今回のテーマである重度不眠症の方は、それではあまり効果が期待できません(>_<) そのため[5][6]の使用を含めてその他、驚くほどに効果がある不眠症の治療薬があります。しかし、それは精神科・心療内科医しか調整が難しいと思われます。

それでは第2回は、もっと具体的に薬物療法と生活療法についてお話ししたいと思います(*^^*) 更に踏み込んだ、もっと核心部分についてお話したいと思います。

まずは、十分な睡眠をとっていただくことが何よりも、心の安定のため大切になります(*^^*)

P.S.今年の9月も、あっという間に終わりになりそうです^^ 令和2年10月も、札幌ことにメンタルクリニックに通院されている皆様が心穏やかに本当に幸せな生活が送れることを願っております(*^-^*) 重度不眠症の患者様を何とか改善できるようにご支援することも、当クリニックの重要な役割の一つだと考えております^^

ご遠慮なく、ご相談ください(*^^*)

「重度の不眠症に対しての治療について②」を次回で補足・完結するようにさせてただきます(*^-^*)

札幌 西区 琴似

札幌 精神科 心療内科

札幌ことにメンタルクリニック

院長 阿部 多樹夫

 

 

 

睡眠障害(不眠症を含めて、睡眠に関する疾患)について

睡眠に伴う疾患について、お話いたします。

1.【不眠症】

ストレス社会の現代において、あるデータでは成人の20%くらいが、不眠症で悩んでいると言われてます。

睡眠薬を服用すると確かに、不眠が改善する場合もありますが、まずは規則正しい生活リズムの確立、適度な運動習慣、入浴、過度なアルコール摂取の制限など、生活環境の改善をお勧めしております。

どうしても薬物治療を行う必要がある場合の注意点ですが、現在でも主流であり続けてているベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、下記4つの問題点をしっかりと見極めた上で処方することが必要となります。

①入眠困難(寝つきが悪い)

②中途覚醒(途中で目覚めてしまう)

③早朝覚醒(朝はやくに目が覚めてしまう)

④熟眠困難(睡眠時は十分に取ったのに、熟眠感がない)

それぞれのタイプの不眠患者さんにとって、最適の処方を選択することが重要となります。下記3タイプに分けて睡眠薬の使い分けを行います。

(1)短時間作用型(超短時間作用型も含む)

(2)中時間作用型

(3)長時間作用型

当然、最適かつ最少量の睡眠剤処方することが、非常に重要となります^^

最近では、非ベンゾジアゼピン系と呼ばれる従来型とは違う睡眠薬もあります。非ベンゾジアゼピン系の長所として、依存性や副作用の少ないと言う点が挙げられます。ただし実際に服薬された患者様からのご意見として睡眠効果が、すこし柔らかいというご指摘もあります。

睡眠薬は非常に多くの薬剤が存在しますが、それぞれ一長一短があります。患者様に一番合った薬剤を選択することが重要となります。

次は、睡眠における疾患についてお話します。

2.【レストレスレッグズ症候群(むずむず脚症候群・下肢静止不能症候群)】

わかりやすい特徴として下記の症状がみられます。

(1)足を動かしたくて我慢できない衝動に駆られます。

(2)ムズムズ感 電気が走ったような鋭い痛みが、足にみられます。

(3)足を動かすと症状が軽減します。

(4)夕方から夜にかけて症状が出現しやすくなります。

特に中高年に発生しやすい傾向があります。

頻度としては、人口の2~4%(240~480万人)と推計されております。

男女差では、1.5倍、女性に多いと言われてます。

[原因]として、中枢神経のドパミン神経系の機能異常と脳内の鉄分の不足が指摘されております。

[治療]として

①ドパミンアゴニスト(パーキンソン病の薬の一種です)。

②ベンゾジアゼピン系のクロナゼパムも効果があります。

③鉄欠乏がある方は、鉄成分を含む薬剤を処方します。

④その他、アルコール・タバコ・カフェインなどを控えていただく必要もあります。

日常診察でも、多くの方が、お悩み抱えて来院されております^^; かなり身近な疾患だといえます。

健康の基本は、まずは良質な睡眠をとれるようになることが何よりも大切だと、ご理解ください(*^-^*)

札幌 西区 琴似 二十四軒

心療内科 精神科

札幌ことにメンタルクリニック

院長 阿部 多樹夫