統合失調症についてWeb講演会を行いました。

皆様、12月の師走のご多忙の時期に、誠にお疲れ様でございます。

小生の事で恐縮ですが、少し前にWeb講演会がありました。そんなに大規模ではないセミナーでしたが、小生が統合失調症についての演者をさせていただきました^^;;

演題の統合失調症について、久々にパワーポイントでスライドを作成しましたが、作成している際に、過去のいろいろな精神科医療の移り変わりについて思い出しました。

もう20年前の話になりますが、私が精神科医(研修医)になった頃、ちょうど定型抗精神病薬から非定型抗精神病薬に切り替わる過渡期でした。

◉定型薬抗精神病薬

1.ブチロフェノン系のハロペリドール ブロ ムペリドール チミペロン等は陽性症状(幻覚妄想)に対して使用していました。

2.フェノチアジン系であるレボメプロマジン クロルプロマジン プロペリシアジン 塩酸ペルフェナジン チオリダジン(販売中止)等、ベンズアミド系であるスルトピリド等は興奮・易怒性・衝動性等の鎮静に、主に使用されていました。

◉非定型抗精神病薬・ペロスピロン ・リスペリドン ・クエチアピン ・オランザピン ・アリピプラゾール ・ブロナンセリン ・パリペリドン ・アセナピン ・ブレクスピプラノゾール ・ルラシドン等があります。

非定型抗精神病薬の特徴は、従来の定型抗精神病薬に比べて、副作用が格段に少なくなったことです。これは紛れもない事実です。ここ20年で大きく様変わりをしました。

現在でも、一定の年齢以上の方は、精神科・心療内科と言えば、一生、多くの薬剤をずっと服薬させられ、副作用も多く、最後は入退院の繰り返しになると考えておられる方も多いかと思います。

以前は確かに、そんな時代が日本だけでなく全世界で当たり前のようにありました。薬理学をはじめバイオ科学がまだまだ未発達だったことも大きな理由でありますが、当時から携わっている精神科医は、その点については大いに反省して、より安全で、必要最少用量の薬剤使用を心掛けるべきことは非常に重要な課題だと思います。

皆様が不安視されている「薬漬け」の精神医療は、徐々になくなりつつあります(*^^*)

当クリニックは、入院病床はありませんが、なるべく入院をしなくて済むようにしながらも、必要最少用量の薬物治療を行い、日々の生活が送れることを目標にしたいと思います^^

P.S.ただし、同じ疾患でも症状の重症度や薬剤への反応性など、個人差が非常に大きいので、その点は、どうかご理解ください。

 

医療法人道樹会 札幌ことにメンタルクリニック

札幌 西区 琴似

精神科 心療内科

院長・理事長 阿部 多樹夫

 

 

 

 

 

統合失調症について③

統合失調症は薬物療法を行うと一旦、症状が良くなります。

しかし、症状が良くなったからと言って、自分で服薬を中止すると、再発の危険が高まります。また再発を繰り返すと症状が強くなり、治りにくくなります。

お薬は再発を予防する効果もありますので、服薬を続けていただくことが非常に重要となります。

分かりやすい例でいいますと、高血圧症の患者さんが、降圧薬(血圧を下げる薬)を服用すると血圧は一旦、正常まで下がります。しかし、お薬を中断すると、また元の高血圧に戻ってしまいます。それを放置すると、いずれ、心筋梗塞や脳卒中といった深刻な事態になります。まさに同じものと考えてください。

「一病息災」の言葉通り、きちんと服薬を継続すれば(一部の例外を除いて)そうそう悪くなることはありません。普通に仕事や日常生活も送れますので、ご安心ください^^

あとは過度なストレスを避けて、睡眠や休息を十分にとり、規則正しい生活を送っていただければ、更に再発のリスクが少なくなります。

 

明日から12月になります。早いもので今年も残り1か月となりましたね^^;

季節柄、忙しくなると思いますが、良い新年を迎えられるように、皆様のご健康とご多幸をお祈りいたしております(*^^*)

札幌 西区 琴似

心療内科 精神科

札幌ことにメンタルクリニック

院長  阿部 多樹夫

 

 

 

 

 

統合失調症について②

統合失調症について、第2回目のお話をいたします。

陽性症状は、誰が見ても明らかに分かるような症状であり、幻聴(誰もいないのに命令調の声や悪口が聞こえる) 妄想(誰かに見張られている 監視されている 悪口を言われている) 興奮 思考障害(思考が混乱して、全体的に思考のまとまりが悪くなります。具体的には、会話に一貫性がなくなり、話している内容が理解できにくくなることもあります)などが挙げられます。

陰性症状感情の平板化(喜怒哀楽全てにおいて希薄化して、他者との感情の接触が浅くなります)自発性低下(自発的に、何かをしようとする意欲がなくなり、何事も長続きできなくなります) 無為自閉(日常生活で面倒くさがることが多くなり、誰とも接することも嫌がるようになります。例として、身だしなみを気にすることもなくなり、入浴・掃除もしなくなります)

治療:統合失調症の治療の中心となるお薬を「抗精神病薬」といいます。症状の改善や再発の予防に大きな力を発揮します。抗精神病薬は、定型抗精神病薬(旧型)非定型抗精神病薬(新型)に分けられます。定型抗精神病薬も、まだまだ治療に有効なことがありますし、非定型抗精神病薬では効果が乏しい部分に、定型薬が有用なことも沢山あります。

非定型抗精神病薬は陽性症状に加えて陰性症状や認知機能障害に対する効果も期待できます。最近では、まずは、第一選択薬として、非定型抗精神病薬から開始することが一般的であります。

結論から申し上げますと、まずは非定型薬である(リスペリドン クエチアピン ペロスピロン オランザピン アリピプラゾール ブロナンセリン クロザピン パリペリドン アセナピン ブレクスピプラゾール)を使用します。その上で、どうしてもコントロールが難しい場合には、部分的に定型薬で調整を行います。

 

今回は、ここまでとさせて頂きます。

 

P.S.本日は、冷えましたが天気も良く、最後の秋の日であった気がしました^^

午後から休診日だったので、また琴似神社に参拝してきました。皆様が(悩みや不安感 憎しみ 悲しみなど、マイナスな感情から少しでも)心穏やかに平和で幸せな気持ちで過ごせるように、お祈りしてきました^^

明日からいよいよ冬が来そうなので、ご自愛くださいませ(*^-^*)

札幌 西区 琴似 二十四軒

札幌ことにメンタルクリニック

心療内科 精神科

院長 阿部 多樹夫

統合失調症について①

今回は、統合失調症について3回に分けて、お話したいと思います。

統合失調症は、おおよそ人口の1%に出現する疾患です。青年期に発症しやすいのが特徴です。

昭和の時代は治療薬も、まだまだ不十分で、病状の経過も芳しくないことが多々ありましたが、現在は比較的に副作用も少なく、有効なお薬もあります。そのため早期発見・早期治療を行うことが非常に重要となります。

原因:遺伝も関係あると言われてますが、正直まだ、一切解明されてません。現時点ではドーパミン仮説という理論が一番、有力視されてます。

具体的には、遺伝的素因に様々な環境的要因が加わった結果、脳内で各種の神経伝達物質の伝達が異常となることが原因で起こると考えられています。

神経伝達物質の中でも、ドパミンの伝達亢進が最も関与しているという考え(ドパミン過剰仮説)が有力で、この仮説によると、陽性症状では中脳辺縁系経路のドパミン伝達の亢進が、陰性症状では中脳皮質経路のドパミン伝達の低下が関与すると言われています。

近年では、ドパミン以外にもセロトニン、ノルアドレナリン、アセチルコリン、GABAなどの異常も指摘されています。

症状:陽性症状と陰性症状に分けられます。

(1)陽性症状は、幻覚 妄想 させられ体験(自分が他者あるいは外部からの力によって操られていると感じること) 滅裂思考 興奮 混迷などが挙げられます。

(2)陰性症状は、無為 自閉 感情鈍麻 自発性欠如などが挙げられます。

では、第2回目で引き続きお話させていただきます。

 

私事ですが、本日、ようやく自動車のタイヤ交換が済みました(/ω\)

明後日、木曜日から、天気予報では冬模様の予測ですので、明日が最後の秋の日になるかもです^^

札幌市西区 琴似・二十四軒

心療内科・精神科

札幌ことにメンタルクリニック

院長 阿部 多樹夫