Q&A 34回目 最近、物忘れが増えてきました。認知症でないか心配してます。検査でわかりますか?

Q:最近、自分でも、物忘れが多くなったと思います。もしかすると認知症でないかと心配してます。検査でわかるのでしょうか?

A:結論から申し上げます。現在、ほとんどの認知症は検査で判別できます。しかし、経過を診ないと分からない場合も稀にあります。

正確に診断するためには、心理検査と画像検査(頭部CT 頭部MRI SPECT ダットスキャン等)が必要となります。それに問診や視診をはじめ神経学的な診察も重要です。

その結果を踏まえ、総合的に診断することが非常に重要です。

認知症が発症するまでに、正常→MCI(軽度認知障害=境界領域)→認知症の過程となります。重要なのは、MCIレベルで受診することです。早期発見・早期治療が何よりも重要です。

認知症にも、様々なタイプ(アルツハイマー型認知症 脳血管性認知症  レビー小体型認知症 前頭側頭葉変性症 進行性核上性麻痺 皮質基底核変性症 等々)あります。それによって、治療方針も変わってきます。

もし記憶に関して、ご不安があれば、お近くの神経内科・精神科・脳神経外科を受診してみてください。

 

追伸です

ようやく猛暑のピークは過ぎたと思いますが、皆様、夏バテや熱中症には十分お気を付けください^^

札幌 西区 琴似 二十四軒

心療内科 精神科

院長 阿部 多樹夫

 

 

 

 

 

 

Q&A 25回目 うつ病の再発を繰り返すと、認知症になるって本当ですか?

Q:うつ病の再発を繰り返すと、将来的に認知症になるって本当ですか?

A:びっくりされるでしょうが、結論から申し上げれば、うつ病は、将来、認知症になるリスクを大幅に上げると言われてます。

 

(1) 1度でも、うつ病になると将来的に、1.7倍くらい認知症になるリスクが上がると言われてます。

(2) 更に、うつ病は再発を繰り返すと、1回につき14%程度、認知症になるリスクが高くなると言われております。つまり再発をする度に、どんどん認知症になる可能性が高くなります。

(3) うつ病だけでなく、躁うつ病(双極性感情障害)も、同様なリスクがあると言われております。

少し、お耳に痛い話かもしれませんが、とにかくメンタル系の疾患は、再発を防止することが、将来、認知症(もの忘れ)になるリスクを下げるため非常に重要だと、ご理解ください。

もし、うつ病や双極性障害(躁うつ病)をお持ちの方は、規則正しい生活 ストレスを上手に発散する 治療を継続するなど、とにかく再発予防に気を付けて下さい^^

雪解けが日々、実感できる季節になりましたが、最後の最後で転倒したり、インフルエンザにならないように注意してください(*^_^*)

 

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心療内科 精神科

札幌ことにメンタルクリニック

院長 阿部 多樹夫

 

 

 

 

 

 

Q&A 第23回 祖母が認知症で、被害妄想(物盗られ妄想)が出て困ってます。治療で治りますか?

                    第23回

Q:祖母が認知症と数年前に診断されて、進行を遅らせるお薬を処方されましたが、最近、被害妄想(物盗られ)妄想が出現して家族全員が困ってます。治療でよくなりませんか?

A:結論から申し上げれば、治療で改善することは可能です。認知症の症状にはもの忘れ(認知機能低下)を中心とした中核症状と、周辺症状(BPSD)と呼ばれる幻覚 妄想 興奮 徘徊などの症状があります。

今回は、周辺症状(BPSD)のなかでも、被害妄想(物盗られ)妄想が問題となっているケースだと思います。

ご本人への対応(環境調整)しては、まずは、妄想に対して否定しないで差し上げてください。

物盗られ妄想は、認知症のせいで物をどこに置いたか忘れてしまった自分のプライドを守る本能的な防衛だと考えてください。認知症になってもプライドは残ります。そのプライドを傷つけるような対応は却って、事態を悪化させます。具体的な接し方としては「誰でも置いた場所が分からなくなることはありますね」「だから、一緒に探しましょう」などと、優しく認知症の方の自尊心を立てて差し上げるように対応してみてください^^

それでも、症状が改善せず悪化するようならば、非定型抗精神病薬であるリスペリドン クエチアピン ペロスピロン ブロナンセリン アリピプラゾール オランザピン等を必要最少用量、服用していただければ、症状が軽減する可能性は高いです(*^^*)

 

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札幌ことにメンタルクリニック

院長 阿部 多樹夫

認知症について、分かりやすく、詳しくお話したいと思います①

札幌ことにメンタルクリニックは、日本認知症学会専門医・指導医、認知症サポート医をしておりますので使命感から認知症について、少し詳しく説明したいと思います(^^;

今回は認知症について第5回に分けてお話ししたいと思います。

まず、誤解がないようにあらかじめ申し上げておきますが、認知症は年齢を重ねたら、ほぼ100%なる病気です。85歳で30% 90歳で60% 95歳で80% 100歳で99%の方が、認知症になります。長生きされることは非常に喜ばしいことですが、同時に認知症になるリスクも加齢とともに上昇していくことをご理解ください。

患者さんの人数で言いますと、2012年時点で日本での認知症患者数は462万人。認知症予備軍といわれる軽度認知障害(MCI)の方が400万人がいることがわかりました。分かりやすく言いうと、全人口の6.7%くらいが何らかの認知機能障害があるという計算になります。

あと7年後の2025年には、認知症患者数は730万人 MCI数は584万人に達すると予測されてます。人口減少も伴いますので、この時点では、全人口の11%くらいが何らかの認知機能障害をもっている予想になります。75歳以上が全人口の18%以上になる2025年問題とも絡んできますね^^;

それでは「認知症ってどんな状態なの?」という質問に、わかりやすくお答えしますと「いったん発育した脳が損傷されて、その結果として、それまでに獲得された知的能力が低下してしまった状態。」となります。

下の図の通り、認知症を発症すると、ゆっくりですが、確実に知的能力が低下していきます。

「年を取れば、多少の物忘れくらいするよ」というご意見もあるでしょう。ごもっともなご意見です^^ そのとおりです。

しかし、通常のもの忘れ(生理的・加齢性変化)と病的なもの忘れ(認知症)とは、全く別物なのです。

下の図をご覧ください。わかりやすく解説すると、認知症では、自覚(病識)がなく、昔のことはよく覚えてますが、近時記憶低下(数分から数日前の記憶がなくなります)。見当識障害(時間→場所→人物の順でわからなくなります)。そして、緩徐ですが進行してきます。そして、進行を遅らせるには治療が必要となります、その点が決定的に違います。

本日は、ここまでにさせてください。第2回目は、更に詳しくお話させていただきます(^ω^)/

札幌市西区 琴似

心療内科 精神科

もの忘れ・認知症

札幌ことにメンタルクリニック

院長  阿部 多樹夫

日本認知症学会 指導医・専門医