今年も残すところ本当にあとわずかです

公認心理師、臨床心理士、事務長の春名です

本格的な雪、寒さが到来したと思えば今年も残すところ本当にあとわずかとなりました。当クリニックの年内の診療も残り1週間を切りました。28日(水)が最終診療日、29日(木)より年末年始の休診となります。

私事ではありますが、以前この場でお話させていただいた、臨床心理士の資格更新は無事に書類を送付できました。締め切りに余裕をもって郵送することができ、今回は写真の問題もありませんでした。おそらく順調に更新が可能であると思います。

例年この時期は大掃除や人の集まりなど苦手な方にとっては、ストレスフルな時期でもあります。最近では行動制限のある年末年始が続いていたので、ストレスが軽減されていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。今年は数年ぶりに行動制限のない年末年始ということもあり、久しぶりにストレスが復活となってしまうかもしれません。

クリスマスや大晦日、お正月などイベントが続く時期です。少しでもストレスの影響を緩和するために、いくつかポイントを頭の片隅に置いておきましょう。

まず、できるだけいつもと同じ時間に食事を取ることです。イベントの時期には食べる機会も増えてしまうことはあるでしょう。なので、いつもと同じ量にすることは難しいかもしれません。ひとまず、時間帯はできるだけいつもと揃えるようにしておきましょう。

睡眠も同様です。年越しなど、どうしても夜更かしが増えてしまいがちになりますが、できるだけ、寝る時間、起きる時間は揃えておきましょう。より大切なのは起きる時間を揃えておくことです。寝不足となる日もできるかもしれませんが、短時間の昼寝で眠気を飛ばしながら過ごしていただくことで、睡眠のリズムも乱れにくくなります。

食事や睡眠の乱れはストレス反応をより強めてしまいます。できるだけいつも通りのリズムの方が有益です。

そして、適度にストレスから自分の身を遠ざける時間も作りましょう。これは特に人の集まりが苦手という場合ですが、無理に参加し続けずに、時には断ったり、自分の時間も設けるようにする方が良いときもあります。

このような工夫は実際には難しい日もありますが、努力目標としてもらうことがお勧めです。年末年始のストレスと上手に付き合っていきましょう。

頭が上手く働かない・・・、これって病気?

公認心理師、臨床心理士、事務長の春名です。

今日は、「頭が上手く働いていない」と感じる症状についてご紹介したいと思います。日常生活で、「なんだか今日はいつもより頭が働かないな」「今日はなんだか頭の回転がにぶいな」と感じることはあるものです。疲労であったり、睡眠不足であったり、昨晩ついつい深酒してしまってなど、理由は色々と考えられます。

単に1日あるいはごく短い期間であれば、心配はありませんが、今回取り上げるのは、このような状態が続いてしまう場合についてです。

頭が働かない状態に最も関係が深いのは抑うつ気分です。気分が沈んだり、滅入ったりすることです。抑うつ気分が私達にもたらす影響の一つに、精神運動抑制と呼ばれる状態があります。この精神運動抑制というものが、「頭が上手く働かない」と感じる状態の正体です。

精神運動抑制では考えるスピードが非常に遅くなる、あるいは考えが止まるという体験をします。いくら考えようとしても、考えが進んでくれません。沼でもがいても前に全く進んでくれないのと同様に、考えが一向に進んでいきません。

優柔不断とは異なります。優柔不断では、結論は決められませんが、考えそのもののスピードは衰えず、ずっとどうしようか、とぐるぐる巡っていることになります。精神運動抑制ではそもそも考え自体のスピードが遅くなります。もちろん、結論は決められない状態にはなりますが、迷って決められないわけではないのです。迷うことすらできない状態といえます。

日常生活では、「新聞を読んでも頭に入ってこない」「食事の献立を考えようとしても何も浮かばない」「スケジュールを考えようとしても、段取りを全く考えられない」といった体験で気づくこともあるかもしれません。いつも考えていることが、いつものように考えられない、考えが進まなくなってしまいます。

先程も述べたように、頭が上手く働かない状態が数日という期間であれば心配はありません。しかし、ほとんど毎日にように感じ、それが2週間から1ヶ月にも及ぶという状態であれば、精神科や心療内科での相談を検討していただくと良いでしょう。気づかぬうちに、抑うつ気分が強く、大きくなり、治療が必要な状態になっているのかもしれません。

人前がとても苦痛になる疾患

公認心理師、臨床心理士、事務長の春名です

今回は社交不安障害という疾患についてご紹介したいと思います。

例えば、

・たくさんの人を前に発表する
・会議でプレゼンテーションする
・飲み会で人と会話する
・授業中に手を挙げて発表する
・職場で何人かで雑談する

などなど

何か自分がアクションを起こすことで、自分自身に注目が集まりそうな場面で話したり、何らかのパフォーマンスをすることがとてつもなく苦痛であり、そのような状況では、非常に強い不安が生じ、動悸、息苦しい、発汗など身体的な変化が急激に生じるような場合もあります。そして、時にはそのような場面や状況に参加できない、避けてしまうという疾患です。

もちろん、上記のような場面で緊張する、苦手という方は多くいらっしゃると思います。苦手としているだけで、すぐに疾患ということにはなりません。引っ込み思案、口下手、シャイ、人見知り、など色々な言い方で、人と話したり何かパフォーマンスをすることの苦手さが表現されています。その全ての方ではありませんが、中には専門的な治療を必要とする方もいますしかし、単なる性格によるものと理解され治療を受けようとはしない方もいらっしゃるかもしれません。

また、その方の置かれている状況によっては、苦手でも問題はないということもあります。先ほど上げた例のように、人前で何かパフォーマンスをする機会というものも、遭遇する頻度は人それぞれです。リモートでの業務や授業も増えているので、昔は問題だったけど、今は問題ないということもあるでしょう。

コミュニケーションが苦手と感じることは一般にも広くみられることですし、苦手の中身も様々です。社交不安障害の場合、過度な緊張や不安により話せない、(何かが)できないという体験を繰り返します。なので、話題がみつからない、その場の空気が読めない、相手の言っていることがわからない、自分が何を言いたいのかわからないといった悩みとはやや異なります。

もちろん、このような悩みを含むこともありますが、基本的には過度な緊張や不安によりパフォーマンスに強い苦痛が生じる、あるいはできないという状態ですので、言いたいことがはっきりとしていたとしても、それを表現することができない状態となります。

病院に相談してもよいものなのか、と悩まれる方もいらっしゃるかもしれません。人前でのパフォーマンスに感じる苦痛が日に日に増していると感じていたり、苦痛があまりにも大きかったり、そのような事態に陥ることを避けるために自身の活動を制限したり、ある場面を避けたりすることで、日常生活が送りにくくなっていたり、こういった場合には専門的な相談を検討していただくほうがよいでしょう。

治療により不安緊張が緩和されれば、これまでよりも生活が送りやすくなることもあるでしょう。心当たりのある方は一度ご相談を検討してみていただくとよいと思います。