札幌の秋冬に増える季節性うつを予防する方法

札幌は秋から冬にかけて日照時間が短くなり、朝起きづらい、気分が沈む、甘い物を過食して体重が増えるなどの変化が出やすくなります。これらは季節性うつの典型的なサインです。今回は自宅でできる対策と、医学的に知られている発生の仕組みをまとめました。


札幌の冬に多い季節性うつとは

秋冬の光量低下が引き金となり、意欲低下や過眠、炭水化物への渇望が強くなるタイプのうつ状態です。春になると自然に軽快することが多いのが特徴です。欧米や北国では「冬季うつ」と呼ばれ、札幌のような高緯度地域で比較的多くみられます。

日本でも 厚生労働省の公式サイト で季節性うつ病の特徴や治療法が紹介されています。


季節性うつ病の発生機序と札幌の光環境

研究によれば、主に次の要素が関与すると考えられています。

  • 体内時計の遅れ
    日照不足で朝の光刺激が減り、概日リズムが後方にずれることで、起床困難や昼間の眠気が生じやすくなります。

  • メラトニン分泌の変化
    暗い時間が長くなるほど、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が過剰・延長し、日中の活動性を低下させます。

  • セロトニン機能の低下
    光刺激不足により脳内セロトニンの合成や神経活動が落ち込み、抑うつ気分や過食傾向につながるとされます。

  • 遺伝的要因
    全員に起こるわけではなく、感受性に個人差があります。セロトニントランスポーター遺伝子の多型などが関与すると考えられています。

海外では 米国国立精神衛生研究所(NIMH)の解説 にも、発生メカニズムや治療法の詳細がまとめられています。


札幌の光環境と体内時計の乱れ

朝の光は体内時計のリセット信号です。秋冬はこの信号が弱くなるため、起床時間が後ろにずれ、昼の眠気や夜更かしが起こりやすくなります。
「朝に強い光、夜は光を弱く」が基本原則です。


今日からできるセルフケア

  • 起床後1時間以内に屋外や窓辺で自然光を浴びる

  • 毎日同じ時刻に起きて朝食をとる

  • 夜は照明を落とし、就寝前のスマホ使用を控える

  • 平日と休日の起床時刻差を1時間以内にする

  • 有酸素運動を週3回以上、夕方より前に行う


医療でできること

症状や生活背景を評価し、光療法や睡眠覚醒リズムの調整、必要に応じて薬物療法を組み合わせます。近年は抗うつ薬や認知行動療法の併用も有効とされています。


受診の目安

  • 2週間以上、気分の落ち込みや過眠・過食が続く

  • 仕事や学業、家事に支障が出てきた

  • 朝起きられず遅刻が増えた

  • 春になっても改善が乏しい


よくある質問(FAQ)

Q 光療法はどれくらいで効果が出ますか?
A 多くは1〜2週間で変化を実感しますが、個人差があります。

Q ビタミンDは関係しますか?
A 冬季の欠乏が関与する可能性が指摘されており、血中濃度を測定しながら補充することがあります。

Q 季節性うつと通常のうつ病の違いは?
A 季節性うつは秋冬に悪化し、春に自然に軽快しやすい周期性があり、過眠・過食が目立つ点が特徴です。通常のうつ病は季節に関わらず持続し、睡眠や食欲は減少傾向を示すことが多いなど、症状の出方が異なります。


ご相談は予約ページから受け付けています

気分の変化に気づいたら、迷わずご相談ください。早期の対応が、春を軽やかに迎える鍵になります。

冬の札幌で朝日を浴びて体内時計を整える様子(季節性うつ予防)

札幌市 西区 琴似 精神科 心療内科

季節の変わり目とメンタルケア

札幌も朝晩はぐっと涼しくなり、秋の気配を感じる季節になってきました(*^^*)気温差や日照時間の変化は、心身に大きな影響を与えます。季節の変わり目に「なんとなく気分が落ち込む」「疲れやすい」と感じる方は少なくありません。本記事では、医学的な視点と日常生活でできる工夫の両方から、季節の変わり目に役立つメンタルケアについて解説します。


季節の変わり目に起こりやすい心の変化

  • 気分の落ち込みや憂うつ感
    日照時間が短くなると、脳内のセロトニン分泌が減少し、気分の落ち込みにつながることがあります。さらに、光の刺激が減ることでメラトニンの分泌リズムも乱れやすくなり、睡眠の質や昼夜の体内時計に影響を及ぼします。その結果、気分の低下や倦怠感が長引く要因となることがあります。

  • 疲れやすさ・集中力の低下
    寒暖差による自律神経の乱れが、倦怠感や注意力の低下を引き起こすことがあります。

  • 睡眠リズムの乱れ
    昼夜の寒暖差や日照時間の変化で、眠りが浅くなったり、寝つきが悪くなるケースがあります。

  • 身体症状の増加
    頭痛・胃腸の不調・動悸などが「心の不調」のサインとして表れることもあります。


専門的にみたメンタルケアのポイント

自律神経の安定化

規則正しい生活リズムを保つことは、自律神経の安定につながります。特に「起床時間を毎日そろえる」ことが効果的です。

光とメラトニンの関係

朝の光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜には自然な眠気を誘うメラトニンが分泌されやすくなります。秋冬は日照時間が短くなるため、意識的に朝日を浴びることが推奨されます。

栄養と脳の働き

うつ症状との関連が指摘される「葉酸・ビタミンB群」「オメガ3脂肪酸」などをバランスよく摂ることが大切です。特に秋鮭や秋刀魚、きのこ類はおすすめの食材です。

(参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針」)


日常生活でできるセルフケア

規則正しい生活習慣

・起床・就寝の時刻を一定に保つ
・朝食をしっかり取ることで体内時計をリズム良くスタートできる

適度な運動

・ウォーキング、ヨガ、ストレッチなど軽度の運動が効果的
・「汗をかく運動」よりも「続けられる運動」を優先

食欲の秋を活かした栄養バランス

・旬の野菜や魚を意識して取り入れる
・糖質・脂質に偏らないよう注意する

気分転換と休養

・短時間でも趣味やリラックスの時間を設ける
・深呼吸やマインドフルネスなどで心を落ち着ける


相談を検討する目安

  • 気分の落ち込みや不眠が2週間以上続く

  • 仕事や学業に支障が出ている

  • 食欲・体重の変化が大きい

  • 不安や焦燥感が強く、コントロールできない

こうした症状が続く場合は、一人で抱え込まず、信頼できる人や専門機関に相談してみることも大切です^_^

(参考:国立精神・神経医療研究センター「こころの健康」)

 


まとめ

季節の変わり目は、心と体に少なからず影響を与えます。自律神経の乱れやセロトニン・メラトニンの働きの変化は誰にでも起こりうるものです。日常の小さな工夫で症状を軽減できることも多いため、まずは生活習慣を整えることから始めてみましょう(*^^*)

どうか無理をせず、できることから少しずつ取り入れて、心地よい秋をお過ごしください。

山の稜線から差し込む朝日。季節の変わり目に役立つ朝の光とメンタルケアのイメージ