季節の変わり目とメンタルケア

札幌も朝晩はぐっと涼しくなり、秋の気配を感じる季節になってきました(*^^*)気温差や日照時間の変化は、心身に大きな影響を与えます。季節の変わり目に「なんとなく気分が落ち込む」「疲れやすい」と感じる方は少なくありません。本記事では、医学的な視点と日常生活でできる工夫の両方から、季節の変わり目に役立つメンタルケアについて解説します。


季節の変わり目に起こりやすい心の変化

  • 気分の落ち込みや憂うつ感
    日照時間が短くなると、脳内のセロトニン分泌が減少し、気分の落ち込みにつながることがあります。さらに、光の刺激が減ることでメラトニンの分泌リズムも乱れやすくなり、睡眠の質や昼夜の体内時計に影響を及ぼします。その結果、気分の低下や倦怠感が長引く要因となることがあります。

  • 疲れやすさ・集中力の低下
    寒暖差による自律神経の乱れが、倦怠感や注意力の低下を引き起こすことがあります。

  • 睡眠リズムの乱れ
    昼夜の寒暖差や日照時間の変化で、眠りが浅くなったり、寝つきが悪くなるケースがあります。

  • 身体症状の増加
    頭痛・胃腸の不調・動悸などが「心の不調」のサインとして表れることもあります。


専門的にみたメンタルケアのポイント

自律神経の安定化

規則正しい生活リズムを保つことは、自律神経の安定につながります。特に「起床時間を毎日そろえる」ことが効果的です。

光とメラトニンの関係

朝の光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜には自然な眠気を誘うメラトニンが分泌されやすくなります。秋冬は日照時間が短くなるため、意識的に朝日を浴びることが推奨されます。

栄養と脳の働き

うつ症状との関連が指摘される「葉酸・ビタミンB群」「オメガ3脂肪酸」などをバランスよく摂ることが大切です。特に秋鮭や秋刀魚、きのこ類はおすすめの食材です。

(参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針」)


日常生活でできるセルフケア

規則正しい生活習慣

・起床・就寝の時刻を一定に保つ
・朝食をしっかり取ることで体内時計をリズム良くスタートできる

適度な運動

・ウォーキング、ヨガ、ストレッチなど軽度の運動が効果的
・「汗をかく運動」よりも「続けられる運動」を優先

食欲の秋を活かした栄養バランス

・旬の野菜や魚を意識して取り入れる
・糖質・脂質に偏らないよう注意する

気分転換と休養

・短時間でも趣味やリラックスの時間を設ける
・深呼吸やマインドフルネスなどで心を落ち着ける


相談を検討する目安

  • 気分の落ち込みや不眠が2週間以上続く

  • 仕事や学業に支障が出ている

  • 食欲・体重の変化が大きい

  • 不安や焦燥感が強く、コントロールできない

こうした症状が続く場合は、一人で抱え込まず、信頼できる人や専門機関に相談してみることも大切です^_^

(参考:国立精神・神経医療研究センター「こころの健康」)

 


まとめ

季節の変わり目は、心と体に少なからず影響を与えます。自律神経の乱れやセロトニン・メラトニンの働きの変化は誰にでも起こりうるものです。日常の小さな工夫で症状を軽減できることも多いため、まずは生活習慣を整えることから始めてみましょう(*^^*)

どうか無理をせず、できることから少しずつ取り入れて、心地よい秋をお過ごしください。

山の稜線から差し込む朝日。季節の変わり目に役立つ朝の光とメンタルケアのイメージ

原因不明の疲れが続くあなたへ|精神科医が教える3つの改善法

原因不明の疲れが続くあなたへ|精神科医が教える3つの改善法


原因不明の疲れが続くと、何をするにもやる気が出ず、仕事・学業・家庭のすべてに影響します。精神科医として多くの患者さんを診てきましたが、原因不明の疲れは珍しくありません。この記事では、原因不明の疲れの正体と、今日からできる具体策を分かりやすく解説します。

原因不明の疲れを癒す、夏のひまわり畑の風景
視覚的な「爽快感」は脳の負担を下げる助けになります。

原因不明の疲れの正体(ストレスと脳の関係)

精神的・身体的ストレスは「見えない荷物」として脳の処理能力を消耗させます。仕事のプレッシャー、人間関係、将来不安、情報過多が重なると、休んでも取れない原因不明の疲れとして表面化します。

脳のストレス反応と疲れのメカニズム

ストレス刺激で視床下部-下垂体-副腎(HPA)系が働き、ACTHとコルチゾールが分泌されます。反応が長期化するとエネルギーの枯渇が進み、「寝ても抜けない疲労」や集中力低下として自覚されます。これが原因不明の疲れの背景です。

原因不明の疲れと睡眠の質を同時に改善する方法はこちら。受診の流れは当院の診療案内(原因不明の疲れ・ストレス外来)をご覧ください。

原因不明の疲れのチェックリスト(受診目安)

  • 朝起きられない・起きても疲れが抜けない日が週3日以上
  • 趣味・好きなことへの興味が薄れた、集中が続かない
  • 食欲・体重・睡眠リズムの急な変化
  • 「原因が分からない不調」が2週間以上持続

該当が多い場合、自己判断せず専門家に相談を。原因不明の疲れは治療可能な状態であることが少なくありません。

原因不明の疲れを軽くする3つの改善法

1. 情報断ちの時間を作る(1日5〜15分)

スマホ通知・ニュース・SNSから意図的に距離をとる「通知ゼロタイム」を設定。脳の入力過多を減らすだけで原因不明の疲れは軽くなります。

2. 睡眠の質を優先する(就寝90分前の準備)

画面オフ、ぬるめの入浴、照明を少し暗く。長さより質が重要です。詳しい手順は原因不明の疲れと睡眠改善ガイドをご参考に。

3. 小さな楽しみを毎日1つ(3〜10分でOK)

コーヒー1杯、短い散歩、深呼吸とストレッチ。小さな快の積み重ねが回復力を底上げし、原因不明の疲れを和らげます。

原因不明の疲れに悩む人のリラックスとストレス解消のイメージ
「短くても毎日」続けると、脳の回復スイッチが入りやすくなります。

まとめ|原因不明の疲れは「甘え」ではありません

原因不明の疲れは脳が発するSOSです。無理を重ねる前に、生活調整と相談を。ストレスと脳の関係は原因不明の疲れの背景を図解した記事にまとめています。必要に応じて、当院の診療案内から受診をご検討ください。

厚生労働省:こころの健康WHO Mental Health

 

原因不明の疲れを癒す、夏のひまわり畑の風景

琴似にある精神科、心療内科のクリニックです。