変化すること(臨床心理学を踏まえ)

公認心理師、臨床心理士、副事務長の春名です

 

北海道らしからぬ、暑い夏もとうとう終わりを告げようとしているようです。厳しい暑さから、涼しい季節に変わりつつあります。朝、晩はすでに寒いと感じる日もありますね。季節の変わり目ということもあり、今回は変化していくことについて話題にしたいと思います。

私たちは日々、様々な変化に遭遇しています。身近なところで言えば、コロナ禍で働き方や生活の仕方に様々な変化がもたらされました。

その他にも、季節に応じて目にする景色も移り変わりますし、出会いと別れといった人間模様の変化もあります。ファッションや歌といったカルチャーにも流行があり、コンビニエンスストアの商品も入れ替わりますね。

小さな変化はさほど影響はありませんが、大きなものに遭遇すると私たちは不安に感じたり、ソワソワと落ち着かなくなるなど、心身に様々な影響を受けるようです。たとえそれが望ましい内容であっても、適応するのにささやかなストレスを感じると言われています。

動物はホメオスタシスという機能を有しており、生理学的にはどのような環境下であれ一定の状態を維持しようとします。外気温に関わらず体温を維持できることがわかりやすい例でしょう。心理学的にもホメオスタシスがあり、それは、現在の生活の仕方や環境をできるだけ維持しようとする心の働きです。

このような機能もあり、様々な工夫も交えながら最終的には変化が起きてもある程度落ち着くことができるわけですが、日々起こる変化とどのように付き合っていくと過ごしやすいのでしょうか。

まず、変化には不安や緊張が伴うものです。
それは、変化によってこれまで培ってきた人付き合いや問題解決の方法、時間の使い方が通用しなくなるのではないか、うまくこなせるのだろうかと感じることも一因でしょう。

未知との遭遇ですので、当然の事と言えます。まずは、不安や緊張が生じるのは自然な反応であると考えてみましょう。

次に、変化した状況に対して「どうしよう」ではなく、「何ができるのか」という視点で考えてみましょう。行動に焦点を当てるのです。

また、変化と上手くつきあっていく

ためには、現在の生活で知らず知らずのうちに当然と思っていた、時間やエネルギーの使い方、周囲の方との付き合い方を調節することが必要となります。「今までこうしてきたから」ではなく、「15分早起きをして6時に起きる」など具体的に計画をしてみましょう。パソコンやスマートフォンのソフトをアップグレードするイメージで、現状に見合うように組み直してみると良いでしょう。

変化に際して抱く不安が、私たちが新しい状況に向けて問題を解決する必要があることを教えてくれます。いわば不安が現状打開の原動力となるとも考えられます。

最後に、不安を抱きながらも行動を起こしてみることで、どのような結果が手に入るのか見てみましょう^^ 緊張はしたけれど始まってしまえばやり過ごすことができた、次は◯◯を備えておこうなど、気づくことがあるはずです。こうした繰り返しによって、変化は不安だが乗り越えられないほどではないという体験を積み重ねていくことができれば、変化とも付き合いやすくなっていくと考えられます。

札幌市 認心理師 春名 大輔

札幌ことにメンタルクリニック 臨床心理室長 副事務長

 

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新年度のスタートです

公認心理師、臨床心理士、副事務長の春名です。

気温も上がり、木々も芽吹き、北海道にも過ごしやすい季節がやってきましたね。今月下旬には道内でも桜が開花するようです。新年度を迎え、期待に胸を膨らませている方、新たなチャレンジに向かおうとしている方、これまで通り堅実に進もうとされている方、様々な方がおられることと思います。

こうした季節の変わり目には期待と同時に不安や緊張が生じることも少なくないでしょう。
また、過去の反省をいかして今後の取組に目を向けたいと思っても、後悔にとらわれてしまうこともあるかもしれません。
感情は本来備わっている自然なもので、私達に危険に備えるよう教えてくれるといった大切な役割を持っています。

しかし、抱く感情があまりにも強すぎると抱えることの苦痛が伴い、仕事や学校、人付き合いといった日常生活を思うように過ごせなくなってしまいます。

前回の心理師ブログにおいても不安や緊張について取り上げましたが、今回は付き合い方も含めて触れてみたいと思います。

不安や緊張はこれから起きるであろう事柄に備えて身体自体のウォーミングアップをしたり、問題を解決するための情報を得ようと試みようとすることに役立ちます。

また、全く緊張を抱かないと気が緩みミスが増え、適度な緊張状態にある方が良いパフォーマンスが発揮できることもわかっています。

では、どうすると適度な状態に調整し、日常生活を送りやすくすることができるでしょうか。

様々な方法がありますが身近な例で言えば、ストレッチがあげられるでしょう。不安や緊張で身体に余計な力が入ってしまっている状態を調節することができます。ヨガを好んで取り入れておられる方もいるでしょう。ご自分に合った方法で良いのではないかと思います。
また、身体に余計な力が入っている状態では呼吸も浅くなりがちです。ゆっくりと口から遠くに息をはくことを意識し、呼吸を整えることも不安緊張をやわらげることに役立ちます。

また、緊張をしても当然の場面において、無理に「リラックスしなければ」「緊張してはいけない」と考えることが余計に緊張を強くしてしまうことも考えられます。
緊張を受け入れる、緊張する事情があると理解することも有益と考えられます。

最後になりますが、遠い将来の心配をしすぎることで不安が強まり、過去の出来事を繰り返し考えることで後悔の念にさいなまれてしまうことがあります。

不安や後悔をいつも以上に強く感じていることに気がついた場合は、「そういうことはある(あった)かもしれないが、とりあえず今日何をするか」と「今」に目を向けてみましょう。今できることに目を向け身体を動かすことで、気分が変わりやすくなると考えられます。

 

札幌 西区 琴似

心療内科 精神科

札幌ことにメンタルクリニック

3月ももうすぐ終わりを迎えます

公認心理師、臨床心理士、副事務長の春名です。

早いもので、3月がスタートですと書いた記事から、3月ももうすぐ終わりを迎えます。
2021年、現時点では本州では桜が咲き、花粉症の方々には辛い季節になってきてしまいました。

今年の3月は昨年に比べると、卒業式といった式典は開催された学校が多かったようですね。昨年は多くの学校で中止となってしまいましたが、感染対策や密を防ぐために分散するといった対応を取ることで、記念すべき日を実現されていたようです。

歓送迎会などのシーズンでもありますが、こちらは例年通りとはいかないようです。日々、ニュースを見ていると、まだまだ新型ウイルスの感染対策に予断を許さない状況が続いております。札幌市でも不要不急の外出自粛が再び要請され、今年も昨年と同様に飲み会は自粛の春となりそうです。

さて、この時期は新年度に向けての準備など、始まりを迎える準備の時期でもありますね。4月から新しい土地での生活を迎えられる人、新しい仕事を始める人、新しい部署に移る人など、様々な方がいらっしゃるでしょう。新しい物事に望む手前というものは、不安や緊張に悩まされる方も少なくないのではないかと思います。

不安や緊張、または心配を感じることは、もちろん自然なことであり、問題となることはありません。余計な不安や緊張、心配というシグナルによって、私達は備えたり、何か準備をしたりと、将来に対して有効な準備を始められます。不安や緊張、心配を感じなくなってしまうのは、そちらの方が困った事態に陥ってしまう可能性が高まるでしょう。

しかし、不安や緊張、心配が過剰であることもまた、問題となってしまう場合もあります。過剰な不安、緊張、心配はそれそのものを抱えることが辛いという側面もありますし、止めどなく溢れてきてしまう場合もあります。この場合、不安や緊張、心配によって日常生活をいつものように送れなくなってしまうこともあります。

過度な不安、緊張、心配には専門的な相談も時に必要となります。薬物療法によって気分の安定が図れることで、日常生活が送りやすくなることもあります。

また、心理療法においても、特に認知行動療法と呼ばれる方法では、様々な方法で不安、緊張、心配へのアプローチを行っています。

新しい生活を迎えるにあたり、不安や緊張、心配があるのはとても自然なことです。

しかし、日常生活が送りにくいと感じるほどに、強くなってしまう場合は、一度ご相談を検討してみることをお勧めします。

札幌 西区 琴似

精神科 心療内科

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考え方を変えることはできるのだろうか?

札幌ことにメンタルクリニックの公認心理師、臨床心理士、副事務長の春名です。

今回はタイトルにもあるように「考え方を変えられるかどうか」ということについて、少し書いてみたいと思います。

考え方を変えたいというご相談は多く寄せられるものの一つと言ってよいと思います。誰かに相談すると、「そう思うからだめなんだ」というようなアドバイスを受けることは多くの人が経験されているのではないかと思います。そのたびに、考え方を変えられればと思う方も少なからずいるでしょう。

賛否両論あるかとは思いますが、私はいつも考え方を変えるのではなく、考えの幅を広げることを推奨してきました。

私達が、物事をどう考えるか、どう感じるかにはやはりその方々の傾向というものがあると思っています。それはときに性格と呼ばれたり、個性と呼ばれたりするものを含みます。そして、これは私達の生活に良い結果をもたらしてくれるものもたくさんあります。

性格や個性というものはそうそう変えられるものとは思えません。なので、あることをまずこう思うという部分については、おそらく変化が起こしにくいと考えられます。しかし、私達がより生活で困ってしまうのは、ある考えがまず浮かぶことよりも、そうとしか思えない状態に陥ってしまい、それ以外の考えを思いつけない状態になってしまうことであったりします。

そこで、カウンセリングでは、いろいろな考えを思いつけるようになるトレーニングを行ったり、一面だけみるのではなく多面的にみるという発想を持っておくといった方法を推奨しています。

よく利用する方法の一つにブレーンストーミングと呼ばれるものがあります。これはとにかくたくさんのアイデアを自由に思いつくということに取り組みます。初めはなかなか思いつけない方でも、繰り返していると段々と思いつけるようになっていきます。

他には、アニメのキャラクターを利用して、そのキャラクターならどう思うか想像してみるといった方法もあります。

基本的には認知行動療法の発想をもとにした方法ですが、いろいろな考えを思いつけることは思考を柔軟にし、ストレスへの対処力の向上にも繋がります。

なので、考え方を変えるという取り組みよりも、考え方の幅を広げるという取り組みを推奨しています。幅が広がってくると、ときに考え方が変わったと感じられる瞬間も訪れるかもしれません。

気がつけば9月も半分が終わりました。本日は朝寒く、現在は比較的日差しが強く暑く感じるようなお天気ですね。そして、風がとても強い日です。

時々ですが、カウンセリングや心理療法、心理検査についてわかりやすく、ご説明していきたいと思います。

札幌 西区 琴似

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札幌ことにメンタルクリニック

残暑お見舞いを申し上げます♪

真夏は過ぎましたが、札幌も、まだまだ残暑が厳しいです^^;;

明日も、最高気温は30℃を超えるまで上がりそうだと予測されております。

秋ごろに遅れて、夏バテが出る方も多くおられますので、十分な睡眠とバランスの良い食事。規則正しい生活 適度な休息をしっかりと取ってください。心身ともに、健やかに過ごしていただきたいと思っております^^

それでは、8月も終わりとなってきました。

本日8月26日から、夏休み明けで学校が始まる学生の方も多いと思いますが、気持ちを切り替えて、こころ新たに、新学期をお迎えください(*^^*)

当クリニックも、更に地域に根差した精神科・心療内科医療に貢献できるように、精進していきたいと思っております^^

P.S.当クリニックは、公認心理師(臨床心理士)によるカウンセリング・心理検査を充実していきたいと考えております。

(広範性)発達障害を心配されて、日常生活で支障を感じられる方からのご相談も、お受けしております(*^^*)

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院長 阿部 多樹夫