これまでに携わったお仕事④

公認心理師・臨床心理士・事務長主任補佐の春名です。

今回も携わったお仕事シリーズになります。第4弾は心理療法についてです。

以前も、当クリニックで行う心理療法という内容で、認知行動療法について簡潔にご紹介させていただきました。私自身、教育および就職後の臨床活動では認知行動療法を主たる心理療法としてきました。

認知行動療法の目標はセルフコントロールを身に着けることと言ってよいでしょう。

様々な技法が開発されておりますが、どれも患者さんやクライエント自身が自分の症状や感情を調整できるようになることを目標として実施されます。患者さんがセルフコントロールを身に着けられるように協同して取り組んでいく心理療法が認知行動療法です。

様々な技法がある中で、本日はエクスポージャーと曝露反応妨害法についてご紹介したいと思います。

これらの技法は主に不安障害を中心に利用される技法です。エクスポージャーはパニック障害や社交不安障害、特定の恐怖症(高所や動物など)などの治療に用いられます。曝露反応妨害法は強迫性障害の治療に用いられます。

異なる疾患を対象としており、名称も異なる技法ですが、共通点があります。それは曝露という点です。エクスポージャーは日本語では曝露療法と訳されます。曝露、つまり曝すというのがこの治療法の肝になっています。言葉が持つイメージが少し恐ろしいと感じられるかもしれませんが、実際にこの治療法は受ける人にとっては恐ろしいものといえると思います。

不安障害に悩まされている人は共通して不安や恐怖を喚起させる場面や物事を避けるという特徴を有しています。パニック障害であれば、外出を避けたり、社交不安障害であれば人前で何かすることを避けたり。また、強迫性障害の人は汚れたのではないかと手を執拗に洗ったりします。執拗に繰り返し、不安や恐怖を中和しようと試みます。認知行動療法では、これらの避けることや中和を試みようとすることが不安や恐怖の喚起を保存し、徐々に強めていくことを明らかにしました。

私たちに生じる不安や恐怖は時間の経過とともに自然に元に戻るということも心理学の研究によってわかっていました。これを治療法として確立したのが、エクスポージャーや曝露反応妨害法と呼ばれる技法です。つまり、不安や恐怖で避けていることに段階的に曝し、不安や恐怖が自然と低下するという経験を積むという治療法になります。反応妨害とは、中和しようとすることを止めることを指しています。なので、汚れたのではないかと不安になっても手を洗わないというのが治療方法となります。

このように記述してみると、とても辛い治療法に見えるかもしれません。実際に取り組むにはとても勇気がいる治療法だと思います。もちろん、初めから不安や恐怖の大きなものから取り組むということはしません(技法としてはありますが・・・)。先ほども述べたように段階的にやっていきます。心理療法では、この段階的に取り組んでいく計画を一緒に作成し、実際の生活で課題に挑戦し、クリアしていくという経過で心理療法が進みます。

これまでにエクスポージャーや曝露反応妨害法を用いて治療に取り組ませていただきました。患者さんの努力と勇気が重要になる治療法だなと思い、少しでも治療法に対する不安を軽減することができるようにと心がけてやってきました。全ての患者さんに効果がある方法とはもちろん言えませんが、患者さんが課題にクリアした報告を聞くたびに、私自身も元気をもらうことができる治療法です。

札幌 西区 琴似

心療内科 精神科

札幌ことにメンタルクリニック

これまでに携わったお仕事①

おはようございます。

心理師、事務員の春名です。

本日から、2月になります。明日は令和2年2月2日で、2ばかりの日ですね。

昨年10月より札幌ことにメンタルクリニックでお世話になり、4か月がたちました。心理師としての業務だけでなく、事務業務という新しい仕事も少しずつ覚え始め、これまでに取り組んだことのない業務に日々取り組んでいるところです。

今回は、前職場で携わっていた業務について取り上げたいと思います。

前職では、個人や集団を対象とした心理療法、心理検査、デイケアでのスタッフ業務に携わっておりました。13年勤務し、様々な経験を積む機会をいただきました。

今日はその中から心理検査業務の一部のお話です。

前職でたくさんの経験をさせていただいた心理検査が知能検査でした。聞き覚えのある方もいらっしゃるかもしれません。

知能検査とはその名の通り、知能を測定するものですが、知能が何なのかという点は、心理学的にも様々な理論が存在します。その点については今回は触れません。

日本の精神科医療で一般的に用いられる知能検査にはウェクスラー式とビネー式というものがあります。前者はWAISやWISCと呼ばれるもので、現在はⅣと呼ばれるバージョンが主に用いられます(WAISについてはⅢも現在よく利用されています)。ビネー式は田中ビネーⅤというものが主に用いられます。

知能検査が広く知られるようになったきっかけと呼んでよいかと思いますが、その一つが発達障害です。私が働き始めた10数年前はまだ、発達障害はあまり有名にはなっておりませんでした。ここ10年ほどで、一般にも広く知られるようになったと思います。

発達障害が徐々に浸透し始めたころから、発達障害は知能検査の結果に大きなばらつきが生じやすいという話がありました。知能検査というのは、いくつかの分野の能力の総体として知能指数という一つの数値を示します。そのいくつかの分野間に数字上の開きが生じるというものです。

確かに発達障害という方の中には数値のばらつきを示す方がいます。それが徐々に数値がばらつくと発達障害という逆の理解も浸透し始めてしまいました。発達障害であるかどうかは特徴が診断の基準を満たすだけ十分にあるかどうか、それによって生活上の支障があるかどうかという総合的な判断で診断されます。しかしいつのころからか知能検査は発達障害がわかる検査というようなイメージを強く持たれる検査になってしまいました。発達障害の診断をより強く補助できる検査は知能検査ではなく別にあります(ADI-Rと呼ばれる検査等)。しかしながら、日本の医療機関ではあまり利用されている検査ではありません。私自身もそのような検査を実施した経験はありません。

知能検査は発達障害の診断の補助にはなりますが、それを受けると診断がわかるというものでもありません。個人の得意なところ、苦手なところといったその人の特徴をより客観的に評価することができるという検査と考えるほうが適切であると思っています。診断の有無を明らかにする検査ではなく、個人をより理解するための検査といえるでしょう。

当クリニックではWAISやビネーと呼ばれる検査は行っておりません。当クリニックでは、発達障害の特徴を評価する簡易な心理検査と問診によって発達障害の可能性について評価する方法をとっております。知能検査による評価は行うことができませんが、発達障害の可能性については評価を行っておりますので、お悩みの方は医師にご相談ください。

今後もこれまで私が携わらせていただいきた業務について自己紹介を兼ねて書かせていただこうと思います。

札幌 西区 琴似 二十四軒

心療内科 精神科

札幌ことにメンタルクリニック