睡眠とメンタルの関係|薬に頼りすぎない整え方

睡眠とメンタルをイメージさせる、星空の中で眠る子猫のイラスト

Q. 人間は何日間、一睡もしなかったら命に関わると言われているか知っていますか?
A. 医学的に「何日で致命的」という確定値はありません。 人で最長級の記録は約11日(264時間)ですが死亡例ではありません(が、瀕死状態です(T_T)危険すぎて現在、ギネスグックでは禁止されています^^;;)一方、動物実験ではラットが約2〜4週間で死亡に至った報告もあり、完全な断眠は生命維持に深刻なリスクを伴います。だからこそ、無理な徹夜を重ねないことが最優先です(*^^*)

睡眠とメンタルの関係は、私たちが思っている以上に深いものです。
眠りが乱れると気分の落ち込みや不安、集中力の低下が起きやすく、心の不調とも行き来しやすくなります。今日は薬に頼りすぎない工夫を中心に、明日からできる睡眠の整え方をご紹介します。


睡眠とメンタルの関係を理解する

  • 睡眠不足は不安や抑うつのリスクを高めます。

  • 一方で、ストレスや気分の落ち込みが強いと眠れなくなりやすい。

  • 睡眠とメンタルは相互に影響し合う関係にあります。


睡眠とメンタルを整える生活習慣

睡眠とメンタルに効く「朝の光」

起きて30分以内に5〜15分、窓際や屋外で日光を。朝の光は体内時計を前進させ、夜の眠気を整えます。

睡眠とメンタルに効く運動の習慣

週に数回の中等度の運動(ウォーキング、軽い筋トレなど)は、寝つきや睡眠の質を底上げします。

入浴で体温を整えて睡眠とメンタルをサポート

就寝1〜2時間前に40〜42℃で10〜20分の入浴。体温を上げてから自然に下がる“後冷え”を利用すると寝つきがラクになります。

カフェイン・アルコールと睡眠とメンタルの関係

  • カフェインは就寝の6〜8時間前までに切り上げましょう。

  • アルコールは寝つきを助けても、深い眠りを減らし途中覚醒を増やします。

お昼寝の工夫と睡眠とメンタル

  • 取るなら20分前後/午後の早い時間

  • 長くなる場合は90分(睡眠1サイクル)も選択肢です。

睡眠とメンタルを支える寝室環境

  • 静か・暗い・涼しいが基本。

  • 枕やマットレスは「首と腰が楽」に感じるものを。                  日本でも厚生労働省が「健康づくりのための睡眠指針」を公表しており、生活習慣の改善が重要とされています。
    👉 厚生労働省:健康づくりのための睡眠指針


薬に頼りすぎない睡眠とメンタルのケア

長引く不眠で生活に支障が強い場合、短期間の薬物療法が役立つ場面もあります。よく使われる薬には、

  • ベンゾジアゼピン系

  • 非ベンゾジアゼピン系

  • メラトニン受容体作動薬

  • オレキシン受容体拮抗薬

などがあります。どの薬も使い方(量・期間・やめ方)が大切です。


世界の平均睡眠時間(参考)

国・地域 平均睡眠時間 出典
日本 約6.6〜7.3時間 OECD調査:加盟国の中で日本は短いグループ(2018〜2021推計)
アメリカ 約9時間02分 米国労働統計局「American Time Use Survey 2024」
ドイツ 8時間37分 ドイツ連邦統計庁 ZVE 2022
中国 9時間46分 中国国家統計局「第3回全国時間利用調査 2024」

睡眠とメンタルは“積み重ね”で変わる

  • 朝の光・日中の運動・夜の暗さと静けさが基本。

  • 入浴で体温を調整し、カフェイン・アルコールは距離を工夫。

  • それでも困ったら、薬物療法という選択肢もあります。


小さな実践メニュー(今日から)

  • 起きたらカーテンを開けて外の光を5〜15分

  • 歩く日を週3日(通勤一駅ぶん歩く、昼休み10〜15分)

  • 入浴は就寝1〜2時間前、40〜42℃で10〜20分

  • 午後はカフェイン控えめ、寝酒はしない。

  • ベッドに入ったらスマホは見なという自分ルールをお願いします(*^_^*)札幌市西区 琴似 心療内科 精神科 メンタルクリニック

睡眠障害(不眠症を含めて、睡眠に関する疾患)について

睡眠に伴う疾患について、お話いたします。

1.【不眠症】

ストレス社会の現代において、あるデータでは成人の20%くらいが、不眠症で悩んでいると言われてます。

睡眠薬を服用すると確かに、不眠が改善する場合もありますが、まずは規則正しい生活リズムの確立、適度な運動習慣、入浴、過度なアルコール摂取の制限など、生活環境の改善をお勧めしております。

どうしても薬物治療を行う必要がある場合の注意点ですが、現在でも主流であり続けてているベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、下記4つの問題点をしっかりと見極めた上で処方することが必要となります。

①入眠困難(寝つきが悪い)

②中途覚醒(途中で目覚めてしまう)

③早朝覚醒(朝はやくに目が覚めてしまう)

④熟眠困難(睡眠時は十分に取ったのに、熟眠感がない)

それぞれのタイプの不眠患者さんにとって、最適の処方を選択することが重要となります。下記3タイプに分けて睡眠薬の使い分けを行います。

(1)短時間作用型(超短時間作用型も含む)

(2)中時間作用型

(3)長時間作用型

当然、最適かつ最少量の睡眠剤処方することが、非常に重要となります^^

最近では、非ベンゾジアゼピン系と呼ばれる従来型とは違う睡眠薬もあります。非ベンゾジアゼピン系の長所として、依存性や副作用の少ないと言う点が挙げられます。ただし実際に服薬された患者様からのご意見として睡眠効果が、すこし柔らかいというご指摘もあります。

睡眠薬は非常に多くの薬剤が存在しますが、それぞれ一長一短があります。患者様に一番合った薬剤を選択することが重要となります。

次は、睡眠における疾患についてお話します。

2.【レストレスレッグズ症候群(むずむず脚症候群・下肢静止不能症候群)】

わかりやすい特徴として下記の症状がみられます。

(1)足を動かしたくて我慢できない衝動に駆られます。

(2)ムズムズ感 電気が走ったような鋭い痛みが、足にみられます。

(3)足を動かすと症状が軽減します。

(4)夕方から夜にかけて症状が出現しやすくなります。

特に中高年に発生しやすい傾向があります。

頻度としては、人口の2~4%(240~480万人)と推計されております。

男女差では、1.5倍、女性に多いと言われてます。

[原因]として、中枢神経のドパミン神経系の機能異常と脳内の鉄分の不足が指摘されております。

[治療]として

①ドパミンアゴニスト(パーキンソン病の薬の一種です)。

②ベンゾジアゼピン系のクロナゼパムも効果があります。

③鉄欠乏がある方は、鉄成分を含む薬剤を処方します。

④その他、アルコール・タバコ・カフェインなどを控えていただく必要もあります。

日常診察でも、多くの方が、お悩み抱えて来院されております^^; かなり身近な疾患だといえます。

健康の基本は、まずは良質な睡眠をとれるようになることが何よりも大切だと、ご理解ください(*^-^*)

札幌 西区 琴似 二十四軒

心療内科 精神科

札幌ことにメンタルクリニック

院長 阿部 多樹夫