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Q&A 精神疾患と間違われやすい身体疾患はありますか?

Q:精神疾患と間違われやすい精神症状を伴う身体疾患はありますか?

A:あります(結構多いです^^;)

精神症状(イライラ 不安 興奮 幻覚妄想等)が認められる場合に、実は身体疾患が原因となっているケースが多々あります。一般的に内科・外科など身体科の医師は一通りの検査を行って特に異常が無い場合に心療内科・精神科関連の疾患だと考える傾向があります。

一方我々、心療内科・精神科医は、それとは真逆に最後の最後まで、まだ見逃しているかもしれない身体疾患がないか思案します。例えば、脳炎(ウイルスや細菌が脳脊髄液に侵入して脳にまで炎症が到達した疾患で、興奮や痙攣、不穏、意識障害など様々な精神症状が伴います)や甲状腺機能異常(バセドウ病と呼ばれる甲状腺機能亢進症では躁状態のようになることもあります。一方、橋本病と呼ばれる甲状腺機能低下症では、うつ状態になることが知られております)、一酸化炭素中毒間歇型脳症(一酸化炭素中毒を生き残って一旦ほぼ回復した状態が見られますが一定時間、多く場合は数週間以内に生じます)をきたすこともあります。その直後、急激に精神症状や神経障害が出現してくることがあります。)、腫瘍随伴症候群(卵巣癌 肺癌などに伴うリモートエフェクトによる神経障害・精神症状)等が存在する場合に、精神症状や神経障害がしばしば認められます。身体疾患が原因なので、まず身体疾患の治療を最優先します。それだけで精神症状の大幅な改善する可能性が望めます。私が総合病院で勤務している頃、精神科リエゾン(他科との連携)でもしばしば、上記を含めて様々な症例を経験しました。

その中でも「せん妄」といわれる一種の意識障害(意識の変容・狭窄)は、高齢者の方に生じることが非常に多いです。身体的や精神的なストレスがかかった場合に急性に発症する脳の混乱だと理解してください。通常であれば、抗精神病薬や睡眠薬の静脈注射や点滴を行い、その場は入眠を促します。翌日、せん妄の原因となるストレスを軽減するとともに、予防的に向精神薬を投薬することが一般的な治療となります。ここで意外と多いのは高齢者の方は脱水になりやすく血流が悪くなり、脳に十分な血液(酸素)がいかないために、せん妄が生じることがあります。そのため点滴をして水分を補充するだけで改善するケースもありました。身体と精神はまさに表裏一体です。

「心・技・体」という諺どおり、古来から人間が健康で仕事(技)をする上で、(心・体)は非常に大切な要素だったのでしょう^^

札幌 西区 琴似

心療内科 精神科

札幌ことにメンタルクリニック

院長 阿部 多樹夫

 

 

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