札幌ことにメンタルクリニックは、日本認知症学会専門医・指導医、認知症サポート医をしておりますので使命感から認知症について、少し詳しく説明したいと思います(^^;
今回は認知症について第5回に分けてお話ししたいと思います。
まず、誤解がないようにあらかじめ申し上げておきますが、認知症は年齢を重ねたら、ほぼ100%なる病気です。85歳で30% 90歳で60% 95歳で80% 100歳で99%の方が、認知症になります。長生きされることは非常に喜ばしいことですが、同時に認知症になるリスクも加齢とともに上昇していくことをご理解ください。
患者さんの人数で言いますと、2012年時点で日本での認知症患者数は462万人。認知症予備軍といわれる軽度認知障害(MCI)の方が400万人がいることがわかりました。分かりやすく言いうと、全人口の6.7%くらいが何らかの認知機能障害があるという計算になります。
あと7年後の2025年には、認知症患者数は730万人 MCI数は584万人に達すると予測されてます。人口減少も伴いますので、この時点では、全人口の11%くらいが何らかの認知機能障害をもっている予想になります。75歳以上が全人口の18%以上になる2025年問題とも絡んできますね^^;
それでは「認知症ってどんな状態なの?」という質問に、わかりやすくお答えしますと「いったん発育した脳が損傷されて、その結果として、それまでに獲得された知的能力が低下してしまった状態。」となります。
下の図の通り、認知症を発症すると、ゆっくりですが、確実に知的能力が低下していきます。
「年を取れば、多少の物忘れくらいするよ」というご意見もあるでしょう。ごもっともなご意見です^^ そのとおりです。
しかし、通常のもの忘れ(生理的・加齢性変化)と病的なもの忘れ(認知症)とは、全く別物なのです。
下の図をご覧ください。わかりやすく解説すると、認知症では、自覚(病識)がなく、昔のことはよく覚えてますが、近時記憶低下(数分から数日前の記憶がなくなります)。見当識障害(時間→場所→人物の順でわからなくなります)。そして、緩徐ですが進行してきます。そして、進行を遅らせるには治療が必要となります、その点が決定的に違います。
本日は、ここまでにさせてください。第2回目は、更に詳しくお話させていただきます(^ω^)/
札幌市西区 琴似
心療内科 精神科
もの忘れ・認知症
札幌ことにメンタルクリニック
院長 阿部 多樹夫
日本認知症学会 指導医・専門医