公認心理師、臨床心理士、事務長の春名です
今回は「心理療法を受けるには?」というお話をしたいと思います。クリニックにもたびたびお問い合わせいただくことがありますが、「カウンセリングは受けられますか?」という質問に関して、クリニックを含んだ医療機関では「受けられると保証できない」という回答になってしまいます。
心理師/士を配置している医療機関かどうか、という点ももちろんありますが、所属しているという機関であっても、問い合わせ時点では、保証できないという回答になってしまいます。これは医療機関で行われる心理療法は医師の指示によって始められるためで、希望すれば受けられるというわけではないことという意味です。病状等を勘案し、心理療法が適用となる、あるいはその方法が効果的といった判断を医師がすることで、心理療法は開始されます。
適用となるかどうかは、相談したい内容や疾患の重症度、心理療法による治療効果が示されている疾患かどうかといった基準に加えて、医療機関ごとの基準による場合もあります。当クリニックでは、公認心理師による心理療法は治療の補助として利用しており、薬物療法に併せて行う治療方法という位置づけで行っており、心理療法のみの治療は行っておりません。
このような理由から、心理師/士がいる機関であっても必ずカウンセリングが受けられるとは言えません。もちろん、希望は考慮されますが、保証はできないということになります。では、どうしてもカウンセリングを受けてみたいという場合はどうすれば?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
とにかく心理師/士によるカウンセリングを受けたい、利用したいという場合には、①個人で開設しているカウンセリングルームを利用する、②大学に付属する相談センターを利用するという方法があります。どちらの方法も医療機関ではないため、健康保険が利用できません。したがって、1回の相談料はその機関ごとで異なります。①に比べて②の場合には、教育機関であるという特色から、1回の相談料は低めに設定されている場合が多いです。ただし、時に学生の陪席があるなど、教育への協力が求められる場合があります(もちろんお断りすることも可能です。了承しなければ、利用できないという意味ではありません)。
インターネットなどで調べると様々なカウンセリングルームがあることがわかりますが、カウンセラーという名称も様々です。民間の資格など、多種多様に存在しています。医療機関で心理療法を提供している心理師は公認心理師あるいは臨床心理士であることがほとんどです。
臨床心理士は日本での歴史も古く、医療機関や教育機関など様々な領域で心理療法や心理検査といった業務に従事しています。「心理士」「カウンセラー」といった呼び方をしたときのほとんどは、この臨床心理士を指していると言っても過言ではないと思います。臨床心理士は国家資格ではなく、協会が認定する認定資格になります。協会のホームページでは、臨床心理士が所属している様々な機関を検索できるデータベースも提供されています。「臨床心理士に出会うには」と検索していただくと、ページが出てきます。
もう一つが公認心理師という資格です。これは国家資格であり、今後、特に医療機関では主流となっていくと思われます。まだ誕生して日が浅いことから、耳馴染みのない資格かもしれませんが、次第に心理師と言えば、公認心理師となっていくのではないかと思われます。ちなみに、臨床心理士と公認心理師は「し」の漢字が異なります。なので、「心理士」だと臨床心理士、「心理師」だと公認心理師ということになります。
現状、どちらの資格も保有している心理師/士が多いかと思います。どちらであっても、優劣という関係性ではありません。どちらかの資格を有している心理師/士であれば、一定の教育を受け、一定の技術が担保されているとお考えいただくとよいでしょう。どのカウンセラーが良いのかわからないというときには、ひとまずどちらかの資格を有しているかどうかを判断基準の一つとしていただくと良いと思います。