今まで存在しなかった、斬新な認知症の根本的な治療薬が出来そうな気配がしてきております。誠に喜ばしいことです^^
2021年6月9日の新聞やニュースで取り沙汰され、ご覧になられた方も多くおられるかと思います。
従来まで、
1.コリンエステラーゼ阻害薬 【①ドネペジル ②ガランタミン ③リバスチグミン】
2.NMDA受容体拮抗薬 【④メマンチン】
が唯一の抗認知症薬でした。
ちなみに、①②④は飲み薬(服薬)です。③は張り薬(貼付剤)です。現時点では日本も海外でも、まだまだ現役バリバリの薬剤です^^
しかし、上記の薬剤は全て「認知症の進行を止められない。まして元に戻すこともできない。只々、進行を遅らせることは可能」という薬剤です。
この度、まさに画期的ですが「認知症の進行を根本から抑える可能性がある薬剤ができて、米国で承認された」と聞きました。
具体的に、毎月1回、1時間の点滴を受けることが必要になります。
これをしっかり行えば、脳内に蓄積してきたβアミロイドを除去しうるといわれております(*^^*)
以前に、小生のブログ「認知症について」でご説明しましたが、要約して申し上げればアルツハイマー型認知症が発症する機序は、
1.40歳代頃からアミロイドβ蛋白が徐々に脳に蓄積してきます。
2.アミロイドβが一定用量以上、蓄積することが引き金となり、タウ蛋白➔リン酸化タウという非常に悪玉蛋白が脳内に蓄積してきます。
その結果、脳の神経細胞が破壊されて認知症になると言われております。
以上を踏まえた上で、今回の新薬は、アミロイドβがリミット以上に蓄積する前、1ヶ月に1度、1時間程度の点滴を何回か行えば、アミロイドβが減少するといわれております。そのため、次のステップであるタウ蛋白➔リン酸化タウ➔神経細胞死➔認知症という負の連鎖が防止できるという仕組みです^^
日本のエーザイ社と米国のバイオジェン社が共同開発した「アデュカヌマブ」とが米国のFDA(アメリカ食品医薬品局:日本の厚生労働省のような組織)で正式に画期的な治療薬に指定されました^^
全認知症の2/3を占めるアルツハイマー型認知症の根本治療薬の出現が現実味を帯びてきたことは非常に喜ばしいことです(*^^*) 是非、日本でも早期に実用化されることを願っております。
P.S.昨日、米国のイーライリリー社から「ドナネマブ」という薬剤も同様にFDAから画期的治療薬に指定されました^^;;
小生も、2021年7月18日(日)におこなわれる認知症専門医移行試験の勉強を頑張りたいと思います。
札幌 精神科 心療内科
札幌市 西区 琴似
札幌ことにメンタルクリニック
院長 阿部 多樹夫