公認心理師、臨床心理士、事務長の春名です。
前回に引き続き就労に関するサービスについてご紹介したいと思います。前回ご紹介したのは就労継続支援というサービスでしたが、今回は就労移行支援事業についてです。就労継続支援と非常に似た名称ですが、内容は異なります。
就労移行支援事業の特徴は一般の就労や障害者雇用も含め、働くことを目標にしているが、働くためのスキルやマナーが十分ではないという方に「働くための練習」を提供するものです。
そのため、就労継続支援のように賃金は発生しません。収入が得られるサービスではありません。また、継続支援とは異なり、移行支援は利用期間が2年間と限られています。この期間で、就労に必要なスキルやマナーを培っていくことが移行支援の内容となります。
支援の内容は各事業所により特色もあるようです。スキルやマナーとして、プログラミングやワード、エクセルといったパソコン操作を習得するプログラムが多く設けられている場合やコミュニケーションスキルの向上のためのプログラムを積極的に取り入れている場合もあるようです。
大まかな流れでは、障害の理解や生活リズム・基礎体力の改善といった基礎の段階、次に就労に必要なマナーを身につけたり、履歴書の作成や面接練習といった準備段階、職場見学や実習、トライアル雇用といった実践的な訓練の段階を経て就職活動を行い、就職に至ります。
さらに、就職はゴールではなく、スタートです。就職したあとの方が、心配や実際に困ることに直面することは十分にあります。移行支援では就職後も6ヶ月間は定着支援という形で企業訪問や相談支援を行ってくれます。
また、7ヶ月目以降は、希望した人には就労定着支援事業に移行することが可能です。定着支援事業は最長で3年間利用が可能です。利用は1年毎に更新する必要があり、利用したいという方にだけ提供されるサービスになります。
このように、就労を始める前段階のサポートを担っているのが就労移行支援事業と言えます。サポートがある就労があるとしても、それでも始めることが難しい、自信が持てないという場合には、最初のステップとして就労移行支援を利用するという方法も有益とであると思います。