社交不安障害について② 

社交不安障害を理解するため重要なポイントですが、大勢の人前でスピーチやプレゼンテーションするのが苦手で、多少の緊張をするのは異常ではありません。

しかし、対人不安・対人緊張が強すぎて、まともにスピーチやプレゼンが出来ないならば、これは「日常生活に支障が生じている」ため、治療が必要となり得ます。

更に問題となるのは、1対1の関係にも支障をきたすことです。特に、そんなに親しくないけど、まんざら知らない関係でもない中間的な心理的距離感の人に、ハッキリと自分自身の意見を言えないことです。人から頼まれたら断れなかったり、人と違う意見を言うことができなかったり、異性になかなか声をかけられなかったりします。周囲の人からは、何を頼んでも断らない「良い人」に見えますが、ご本人は内心、疲れ果て限界に達しているのに、それでも断れないのです。最終的には仕事や学校に行けなくなるなど、困った事態に至ります。
そういう方が、最も苦手とするのは、実は同僚や同級生です。今後、「長く付き合っていかないといけない」「嫌われたら困る」と考えて、更に何も言えなってしまいます。

原因:他の精神疾患と同じく、まだはっきり解明されてませんが、生まれ持った気質(性格や性質)と脳内の扁桃体の過敏性に関連があると言われてます。

治療:他の不安障害と同じように、抗うつ作用と抗不安作用を持つ、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や抗不安薬の薬物療法が有効です。

SSRIの効果が出現するまで、1~2週間かかりますので、1、2回服薬して、効果がないと思い込んで自己中断しない様にしてください。抗不安薬は即効性がありますのでSSRIの効果が現れるまでの間に使用します。抗不安薬は依存性が問題になる場合もありますので、可能な限り最少用量・最少期間だけ用いることが望ましいです。
今まで、他の疾患でも何回かご説明してきましたが、ここでも認知行動療法を用いて、認知(考え方)のゆがみを修正することで問題を解決が可能となります。不安や恐怖に直面しても、上手くやり過ごせるスキルを習得していく精神療法です。

精神療法(認知行動療法を含む等)と薬物療法は治療の両輪とお考えください。そして皆様がメンタル的な、お悩みから解放されるお手伝いができれば、幸いだと思っております(*^^*)

社交不安障害について、最後までご清聴ありがとうございましたm(_ _)m

次回は、統合失調症についてお話したいと思います。

札幌 西区 琴似

心療内科 精神科

札幌ことにメンタルクリニック

院長 阿部 多樹夫