精神科・心療内科のお薬について① 

Q:精神科・心療内科のお薬をわかりやすく説明してもらえますか? 安定剤 睡眠剤、抗うつ薬、抗精神病薬という言葉を耳にしますが、どんな違いがあるのですか?

A:はい。了解しました^^ わかりやすくお話いたします。精神科領域使用される薬剤総称して、向精神薬と言います。その中でも、代表的なものをお答えしたいと存じます^^ しばし、長くなりますが、ご清聴をお願いします^^

①抗精神病薬                              

主に統合失調症妄想性障害幻覚妄想や、双極性感情障害(躁うつ病)の躁状態に使用します。時に、うつ病焦燥感が強い場合(焦燥型うつ病)やうつ病の増強療法に使用することがあります。

定型薬(ずっと以前から使用されている古典的な薬剤で、効果は十分にあるのですが、副作用も出やすい)と非定型薬(比較的、新しい薬剤で効果があり副作用は少ない)があります。

現在では、非定型薬最少用量から服薬していただく治療がスタンダードになっております。

しかし定型薬にも現役バリバリで使われている薬剤もあります。特に低力価群・中間型群で鎮静効果が強いレボメプロマジン ゾテピン スルトプリド等は、非定型薬では代替薬が実質ないため現在でも、興奮・衝動性・焦燥感強い場合に使用しております。古いものが全て悪いと言う訳ではありません^^;

②抗不安薬                               名称通りまさに不安に対して効果がある薬剤です。かつては神経症と呼ばれる疾患を中心に使用されております。ちなみに神経症は、英語ではneurosis(ニューローシス)。ドイツ語ではneurose(ノイローゼ)と訳します。       神経症を、わかり易くいうと脳の疾患ではなく、心の疾患です。原因として、悩み 不安 緊張 葛藤などの心理的なストレスが原因で生じる、あくまでも心の疾患です。言い換えれば、ストレスに押し潰されて、どうしようもない状況になって、心が悲鳴をあげている状況だとご理解ください。誰にでもなりえます。主に効果が望めるのは、不安障害身体症状症=身体表現性障害(身体化障害 心気障害 身体表現自律神経機能不全 持続性身体表現性疼痛障害)、混合性不安抑つ障害(神経症性うつ状態)等です。

ただし一部の神経症には効果が乏しいものもあります。パニック障害、強迫性障害(強迫神経症)、解離性障害(ヒステリー)、転換性障害(ヒステリー)、PTSD(心的外傷後ストレス障害)等には、抗不安薬はあまり大きな効果が期待できません。その際は、SSRIなど抗うつ薬が有効となります。

非常にわかり易く言えば、抗不安薬は対症療法(盾)です。一方、SSRIやSNRIはメンタルを根本から守ってくれる鎧(ヨロイ)です^^;;

③抗うつ薬:うつ病に対して効果がある薬剤です。二環系 三環系 四環系 ベンズアミド系が以前から使用されていました。現在は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)第一選択薬として使用することが主流となっています。SSRIやSNRIは治療効果・副作用・安全性でも非常に優れていますが、唯一、困った副作用があります。服薬初期に、吐気やムカムカなどの消化器症状が出現することがあります。ほとんどの場合、1ヶ月以内に馴染できて、そのような副作用は消失します。そのため服薬初期に胃薬を併用すると、その副作用はかなり緩和されます。副作用が軽減してきたら徐々に胃薬も減らし、いずれ中止します。

上記しましたが、難治性の神経症圏の疾患であるパニック障害、強迫性障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)等にも有効性が認められます。

④睡眠薬:現在、主に使用されている睡眠薬には、ベンゾジアゼピン系非ベンゾジアゼピン系(メラトニン受容体アゴニストとオレキシン受容体拮抗薬も含む)があります。

現在でも主流であるベンゾジアゼピン系睡眠薬には大きく分けて(1)超短時間型 (2)短時間作用型 (3)中時間作用型 (4)長時間作用型があります。(1)(2)は入眠困難(寝付きが悪い)タイプの方。(3)は中途覚醒(途中で目が覚めてしまう)タイプの方。(4)は早朝覚醒(朝早く目覚めてしまう)タイプの方に使用します。

⑤抗てんかん薬:癲癇(てんかん)に対して効果のある薬剤です。てんかんは、わかりやすく言えば「脳内で一部の神経細胞が突然一時的に異常な電気活動を起こすことにより発生します」。部分発作と全般性発作と詳細不能型の3つに分類されます。発作のタイプに最適な薬剤を選択して、服薬することにより発作を抑制することが可能となります。

⑥その他精神刺激薬等(中には非中枢神経刺激薬も含みますが、ややこしくなるので、スッキリわかり易く言うと大きな枠組みでは、はほぼ同じようなものだとお考えください。異論もあるかと思いますが、一般の方にわかり易い説明をするためなのでご理解ください)。

中枢神経系を刺激する薬剤は、服薬すると精神がすっきりします。わかり易く言えば「脳を覚醒して注意力や集中力を高め、眠気を減らす薬剤」です。メチルフェニデート製剤・ペモリン・モダフィニル・アトモキセチン塩酸塩・グアンファシン塩酸塩が本邦では、保険適応になっています。

対象疾患としてはナルコレプシーADHD(注意欠陥多動性障害)となります。

 

P.S.上記薬剤には、それぞれ薬剤ごとにクセというか個性があります。

その上で、それぞれの患者様の症状に合った最適な処方を判断するのが精神科医・心療内科医の重要な役割の一つだと考えております。

⑦気分安定薬の有効性がある疾患(双極性感情障害 気分変調症 統合失調感情障害

⑧抗認知症薬(認知症治療薬)については、次回に詳しくご説明したいと思います。しばらくお待ちくださいませ(*^^*)

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精神科 心療内科

札幌ことにメンタルクリニック

院長 阿部 多樹夫

 

 

 

 

 

Q&A 46回目 受診したいのですが、子供連れでも大丈夫ですか?

Q:受診をしたいのですが、子供を預けるところがなくて困ってます。子供連れで受診しても、いいですか?

A:もちろん、構いません^^ 小さなお子さんがおられたら、受診の際にお困りだと思います^^ 札幌ことにクリニックにキッズコーナーはありませんが、ご一緒に来院されることは全く問題ありません。手の空いているスタッフがいる場合には、お手伝いできるかもしれません。ご心配なく、安心して、ご来院ください(*^^*)

P.S 女性ならではのお悩み・ご相談は非常に多くあると思っております。当クリニックは、様々な方からのご相談やお悩みをお受けいたしております。

現在、女性医師は在籍しておりませんが、いずれ女性医師による精神科・心療内科の診察が可能になるように、真面目に検討をしております。

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札幌ことにメンタルクリニック

院長 阿部 多樹夫

Q&A:第45回 高齢になってしまい、最近は歩行状態が悪くなり、困っております。できれば車イスでの受診は可能ですか? 

Q:車イスでの受診は可能ですか?

A:はい。もちろん可能です。

当クリニックは、心療内科・精神科はもちろんですが「もの忘れ・認知症医療」にも力を入れております。

そのため来院される患者様がお困りならないように、バリアフリーに十分な配慮をいたしております。

当クリニックが入っているビルの入口に一段だけ段差がありますが、下記のスロープを設置いたします。もし、お困りならば当クリニックのスタッフが、直ぐに駆けつけてお手伝いをいたします^^

下記の写真のスロープがありますので、車イスの患者様でも、ご安心して受診していただけます。

あとは、車イスも楽に入れるサイズのエレベーター1Fにありますので、3階まで上がっていただければ、すぐにクリニックに到着できます^^

いろいろな年齢層の患者様に安心して受診していただけるように、心掛けておりますので、お困りの際は、ご遠慮なくお申し出ください(*^^*)

P.S.もし地下鉄をご利用な場合でも、当クリニック(札幌ことにメンタルクリニック)から、最寄りの地下鉄東西線琴似駅3番出口のエレベーター(車イスが十分に入る大きさです)を利用していただければ、徒歩1分で、当クリニックに到着します^^

もし、自動車で来院される場合でも駐車場がすごく近隣に2か所で合計20台以上ありますので、ご安心ください(*^-^*)

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院長 阿部 多樹夫

 

 

Q&A 44回目 インフルエンザワクチン予防接種は、受けられますか?

Q:インフルエンザワクチンの予防接種は、そちらのクリニックで受けられますか?

A:はい。可能です。「インフルエンザワクチンを始めてほしい」という患者様のご要望が非常に多くありましたので、2019年10月中旬から開始いたしました^^

あくまで、患者様サービスの一環としていますので、廉価にて提供させていただいております。

そのため、まずは通院中の患者様優先となります。次は、そのご家族までの限定とさせていただきます。

今年から始めましたので、まずは100人分準備しました。

あと60分人分くらい残りがあります。

お申し出の順番に接種を行っておりますので、ご希望の方は、お早めにお申し出ください。

原則、当日でも、発熱等の問題がなければ、インフルエンザワクチン接種は可能です。遠慮なくお申し出ください。

無くなり次第、終了となりますので、その点は、ご理解・ご容赦をお願いしますm(_ _)m

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院長 阿部 多樹夫

 

 

 

 

 

 

 

Q&A 43回目 社交不安障害の治療薬について

Q:対人緊張・対人恐怖・対人不安が強くて、社交不安障害(社会不安障害)と診断されました。治療薬として、抗不安薬と抗うつ薬を処方されましたが、抗うつ薬はうつ病の薬なので、服薬に抵抗感があります。実際のところ、抗うつ薬を服薬した方がよいのでしょうか?

 

A:社交不安障害は確かに、うつ病とは別の疾患です。

抗不安薬(クロチアゼパム アルプラゾラム ジアゼパム ロラゼパム等)は即効性があります。服薬して20-30分くらいで気分が落ち着いてきます。効果の持続時間は、薬剤によって違いますが、一般的には、数時間です。分かりやすく言うと、あくまで対症療法です。

抗うつ薬については、結論から申し上げれば、根本的に効果がある場合が非常に多いです。

ただし、三環形・四環系抗うつ薬等は現在では、ほとんど処方しないのが主流となってます。ファーストチョイス(第一選択)は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)です。場合によってはSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)も使用します。

社交不安障害は、日常生活に非常に大きな支障をきたしますので、症状が緩和すると、良いですね(*^^*)

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院長 阿部 多樹夫

 

 

Q&A 42回目 「消えてしまいたい」「死にたい」という気持ちが抑えきれません。何か解決策はありませんか?

Q:「死にたい」「消えてしまいたい」という気持ちが抑えきれません。何か方法はありませんか?

A:「死にたい」と思ってしまうことを「希死念慮」と言います。それには、いろいろな理由がありますが、その原因が了解可能なものか否かを判断することが非常に重要となります。

例えばですが、「重大な犯罪を犯してしまった。」「とんでもない取り返しのつかないミスをしてしまった。」などは、了解可能な理由になりますこのような場合は、まずは、法的な専門家に相談されることも必要になるかも知れません。

もし、「自分が生きていては申し訳がない」「自分に生きる資格がない」「何も理由がないのに死にたい」等の場合は、了解不能な病的な理由となります。

その場合は、うつ病・統合失調症・妄想性障害などメンタル系の疾患の可能性があります。もし、そのような状況ならば一度、お近くの心療内科・精神科医に、ご相談されるのも一つの解決方法かと思います。

ここからはお願いになりますが、死にたいと思ってしまうことと、それを行動に移すことは、全く別次元です。どうか、ご自身の尊い御命を粗末にされませんように、お願いします。

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Q&A 41回目 ケアレスミスが多く、約束事もうっかり忘れてしまいます。何かの精神疾患なのでしょうか?

Q:仕事でも家庭でも、ケアレスミスが多く、約束事もうっかり忘れてしまいます。また、段取りが下手で、ものごとを同時並行に処理することができません。周囲からは、集中力や注意力が足らないと、よく指摘されます。治そうと努力していますが、一向に治りません。幼稚園や小学校の頃から、そのような症状があったと両親から聞いています。何かの精神疾患なのでしょうか?

               第41回

A:幼少時からずっと、注意力・集中力に問題があり、ケアレスミスが頻発して、提出物や約束が守れない状況が成人になっても、改善されずに持続するのであれば、ADHD(注意欠陥多動性障害)の可能性があります。

ADHDでは

①不注意(集中できない 気が散りやすい 物事を順序だって処理できない 物をなくしやすい等)

②多動性(じっとしていられない 待つことができない等)

③衝動性(思いついたら、すぐに行動してしまう等)

の3つが、問題となります。

②③は、幼少時強い場合でも、成人になるにつれ、軽減する場合が多くあります。

①は、成人になってからも、持続するケースが多い印象があります。

お診立てならば、心療内科・精神科医の問診を中心とした診察である程度可能です。しかし確定診断を希望される場合には、心理検査や必要によっては脳画像検査(CT MRI SPECT等)多くの検査・時間が必要となります。

ADHDに関しては、薬物療法で症状の改善が望めると言われております。

検査・治療を受けることも可能です。

 

さて、来週の23日(月)はお彼岸ですね^^

秋も深まりつつあります。では、寒冷差が強くなりますが、ご自愛ください(*^^*)

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Q&A 40回目 夫が寝ている間に、悪夢にうなされて、大暴れします。何かの病気でしょうか?

Q:夫が寝ている間に、悪夢にうなされて、大暴れします。何かの病気でしょうか?

   40回目

A:レム睡眠行動障害(睡眠中に夢体験と同じ行動をとってしまう病気。)が考えられます。

睡眠中には、レム睡眠とノンレム睡眠が交互に出現します。健康な人ではレム睡眠中には骨格筋が弛緩して動きません。レム睡眠行動障害ではこの抑制機構が障害されるため、夢の中での行動がそのまま現実の行動となって現れてしまいます。

大声で寝言を言ったり、腕を上げて何かを探すしぐさをしたり、殴る、蹴るなどの激しい動作がみられます。症状が強いケースでは、起き上がって歩き回る、窓から飛び出して怪我をするなど危険な行為もみられます。

原因が明らかでない場合も多いのですが、約半数例には中枢神経の疾患がみられます。特に、パーキンソン病、レビー小体病、多系統萎縮症などで高頻度にみられ、これらの神経疾患の発症に先だってレム睡眠行動障害がみられることもあります。

レム睡眠行動障害が出現するようでしたら、一度、パーキンソン病やレビー小体型認知症の前兆がないか検査してみられた方が良いのかも知れません。(厚労省HPから引用)

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Q&A 39回目 仕事に行こうとすると、不安になり動悸や吐き気がします。どうしたらいいでしょうか? 

Q:仕事に行こうとすると、不安になり、動悸がして、吐き気や汗が出ます。どうしたらいいでしょうか?

           39回目

 

A:仕事に行く前に、そのような症状が起こるのであれば、かなりストレスが蓄積いている可能性があります。身体的に問題がないのに、どうしても出勤が難しいのであれば、一度、お近くの心療内科・精神科医を受診されるのも、一つの方法かもしれません。

何かとストレスが溜まりやすい社会なので、普段からストレス発散できるように、運動や趣味など気分転換できる環境づくりに気を付けたいものですね^^

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Q&A 38回目 漢方薬で不安やイライラ等に効果のある薬はありますか?

 

Q:不安やイライラ 食欲低下 喉の詰まった感覚などの症状で困ってます。できるだけ向精神薬(精神科領域の薬剤)を服用したくないので、漢方薬で効果がある薬はありませんか?

           38回目

A:結論から申し上げれば、そのような精神症状に効果が認められる漢方はあります。 また、向精神薬を服用したくないというお気持ちも、十分理解できます^^;

漢方は「証」と「気・血・水」と言われる「ものさし=体質」が、その人に合わないと、効果がほとんど望めないことが多々あります。また、西洋薬に比べて、一般的に効果はマイルドです^^;

しかし「証」「気・血・水」がぴったりと合えば、びっくりするくらい効果があります。古今東西問わず、良いもの良いのでしょう^^

漢方で治療をご希望の方は、その旨を事前に医療機関に相談されることをお勧めします。

ただし、疾患によっては、漢方よりも、西洋薬の方が有効な場合もありますので、主治医とよく相談してみてください(*^^*)

 

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