頭が上手く働かない・・・、これって病気?

公認心理師、臨床心理士、事務長の春名です。

今日は、「頭が上手く働いていない」と感じる症状についてご紹介したいと思います。日常生活で、「なんだか今日はいつもより頭が働かないな」「今日はなんだか頭の回転がにぶいな」と感じることはあるものです。疲労であったり、睡眠不足であったり、昨晩ついつい深酒してしまってなど、理由は色々と考えられます。

単に1日あるいはごく短い期間であれば、心配はありませんが、今回取り上げるのは、このような状態が続いてしまう場合についてです。

頭が働かない状態に最も関係が深いのは抑うつ気分です。気分が沈んだり、滅入ったりすることです。抑うつ気分が私達にもたらす影響の一つに、精神運動抑制と呼ばれる状態があります。この精神運動抑制というものが、「頭が上手く働かない」と感じる状態の正体です。

精神運動抑制では考えるスピードが非常に遅くなる、あるいは考えが止まるという体験をします。いくら考えようとしても、考えが進んでくれません。沼でもがいても前に全く進んでくれないのと同様に、考えが一向に進んでいきません。

優柔不断とは異なります。優柔不断では、結論は決められませんが、考えそのもののスピードは衰えず、ずっとどうしようか、とぐるぐる巡っていることになります。精神運動抑制ではそもそも考え自体のスピードが遅くなります。もちろん、結論は決められない状態にはなりますが、迷って決められないわけではないのです。迷うことすらできない状態といえます。

日常生活では、「新聞を読んでも頭に入ってこない」「食事の献立を考えようとしても何も浮かばない」「スケジュールを考えようとしても、段取りを全く考えられない」といった体験で気づくこともあるかもしれません。いつも考えていることが、いつものように考えられない、考えが進まなくなってしまいます。

先程も述べたように、頭が上手く働かない状態が数日という期間であれば心配はありません。しかし、ほとんど毎日にように感じ、それが2週間から1ヶ月にも及ぶという状態であれば、精神科や心療内科での相談を検討していただくと良いでしょう。気づかぬうちに、抑うつ気分が強く、大きくなり、治療が必要な状態になっているのかもしれません。