Q&A 第29回‐② PTSDとは、どんな疾患なのでしょうか?

前回の続きになりますが、

◎PTSDは、生死に関わる強烈な恐怖体験をした後に、その恐怖体験が、こころの傷(トラウマ)となって残り、様々な症状を引き起こします。

◎人によって、恐怖経験は異なります。

このような恐怖経験をした方が、全員PTSDになるわけではありません。同じ事故にあっても、PTSDになる人とならない人がいます。
では、PTSDになる人はこころの弱い人なのでしょうか?実際にはそんなことはなく、屈強な男性(ランボーは特殊部隊グリンベレーです^^;;)がPTSDに悩まされている例もたくさんあります。

それゆえ、どんな人がPTSDになりやすいのかはわかっておりません。PTSDは、誰がなるかわからない障害であり、つまり誰にでもその可能性があります。

いつまでも、こころの傷を克服できないからといって、自分を責めないでください。とても怖い思いをした方にとって、PTSDは自然の反応ともいえるのです。

 

【症状】として

◎突然、つらい記憶がよみがえる

事件や事故のことなどすっかり忘れたつもりでいても、ふとした時に、つらい体験の時に味わった感情がよみがえります。
それは恐怖だけでなく、苦痛、怒り、哀しみ、無力感などいろいろな感情が混じった記憶です。

周りからみると、何もないのに突然感情が不安定になり、取り乱したり涙ぐんだり怒ったりするので、理解に苦しむ場合もあります。
その事件や事故を、もう一度体験しているように生々しく思い出されることもあります。また、同じ悪夢を繰り返し見ることもPTSDによくある症状です。

◎常に神経が張り詰めている

つらい記憶がよみがえっていない時でも緊張が続き、常にイライラしている、ささいなことで驚きやすい、警戒心が行き過ぎなほど強くなる、ぐっすり眠れない、などの過敏な状態が続くようになります。

◎記憶を呼び起こす状況や場面を避けるようになる

何気ない日常の中につらい記憶を思い出すきっかけがたくさん潜んでいます。多くのPTSD患者さんは何度も記憶を呼び起こすうちに、そうしたきっかけを避けるようになります。
どんなことがきっかけになるかは本人でなくてはわからず、本人も意識できないままでいることもあります。
意識できない場合でも、自分で気づかないうちにそうした状況をさけるようになります。
その結果、行動が制限されて通常の日常生活・社会生活が送れなくなることもあります。

◎感覚が麻痺する

つらい記憶に苦しむことを避けるために、感情や感覚が麻痺することもあります。そのために家族や友人に対してこれまで持っていたような愛情や優しさなどを感じられなくなったり、人にこころを許すこともできなくなります。
これは、つらい経験の記憶からこころを守るための自然の反応ともいえます。

◎いつまでも症状が続く

症状は、つらく怖い経験の直後であればほとんどの人に表れるものです。ですので、事件や事故から1ヶ月くらいの間は様子をみて、自然の回復を待ってみます。
数ヶ月たっても同じような症状が続いたり、悪化する傾向がみられたら、PTSDの可能性がありえます。(厚労省HP参照)

以上、PTSDについて、ご説明しましたが、治療としては、持続エクスポージャー療法や眼球運動脱感作療法 認知症法 薬物療法などが行われます。ただし、治療には長い時間が必要となる場合も多くあります。

 

それでは、そろそろ花粉症も流行してきますので、体調管理は十分お気を付けください^^

札幌 西区 琴似 二十四軒 八軒

心療内科 精神科

院長 阿部 多樹夫