第2回 Q:心療内科・精神科なのに血液検査(採血)が必要なのですか?

 

Q:何故、心療内科・精神科なのに血液検査(採血)が必要なのですか?

非常によく受ける質問です。しっかりとお答えしたいと思います。

A:主な理由は2つあります。

A1.身体合併症(糖尿病 パーキンソン病 心臓疾患 甲状腺機能異常 副甲状腺機能異常 重症筋無力症 高度な肝機能障害・腎機能障害)等の基礎疾患がある方には、メンタル系の薬剤の処方が、禁忌もしくは注意使用しなけらばならないケースが多々あります。まず問診でしっかりと病歴や既往歴を伺ておりますが、実はご本人も、お気付きでない場合も非常に多くあります。そのため、まず治療を開始するに当たって、どのような治療方針を立てるか精神状態だけでなく身体面も、しっかりと把握する必要があるケースが多くあります。

例えば、甲状腺機能異常の場合、低下症(橋本病)では、「うつ状態」となることがあります。逆に亢進症では「躁状態」となることもあります。

また、もの忘れ・認知症の場合に、ビタミン欠乏症が原因になっている場合もあります。そのため事前に、そのような基礎疾患が無いか、知っておく必要があります。

A2.またメンタル系で処方する薬剤は副作用として、糖尿病や高脂血症の悪化、甲状腺機能障害 性機能障害 薬剤中毒症状等が認められることがたまにあります。そのような副作用を、いち早く把握して予防するためには、定期的な血液検査はどうしても必要となります。

心身共に健康を保つためにも、最初から全てメンタル的なものが原因だと考えず、身体的な原因もありうると考えてください。その上で、総合的に判断していただきたいと思います。

札幌市 西区 琴似

精神科 心療内科

札幌ことにメンタルクリニック

院長 阿部 多樹夫